第50話 終話(再び心を込めて)
- 2025年4月15日
- 院長・医局
2009年4月16日にYSYCを開設しました。
明日16回目の開院記念日を迎えます。
そして、開院3年目の2012年4月からYSYCのホームページにスタッフブログページを作成し、スタッフ有志の協力を得て今日まで13年間続けてくることができました。
当初は、不妊治療の考え方や進め方、そして、新しい検査法や治療法を随時紹介し、患者さんが治療を進めるうえでの判断や選択の手助けになればと考えていました。
しかし、他施設のホームページを検索してみると、多くのクリニックで新しい治療法や検査法などの解説、英文雑誌の論文の要約などが所狭しと書かれていました。そして、それらを読んだ患者さんの頭には、曖昧な知識ばかりがどんどん蓄積され、いわゆる頭でっかちの状態になり、自分自身では十分に納得や消化ができないまま、藁をも掴む思いで高価な検査や治療を受けてしまう方が増えてしまうように思われました。
一流の医学雑誌に掲載された論文でさえ10年後まで真実として引用され続ける論文の割合は10 %に届かないと報告されています。新しければ、そして英文雑誌に掲載されれば、それが真実で最先端かつ最良の治療なのかどうかはしっかりと見極める必要があります。
YSYCでは、研究活動や学会、論文発表に力を注ぐ一方で、新しいからと言ってやみくもに飛びつくことはせず、最小限の身体的、精神的、経済的、そして倫理的な負担で、患者さんに喜びをもたらしてきた実績に裏打ちされた治療法が最良の治療であるとの信念から、自分達の目で見た事実や経験を大切にして今日まで治療を積み重ねてきました。そして、どんなに良い治療法であっても確かな技術で正確に、しかも、心を込めて行わなければ、決して良い結果にはつながらないことも数多く経験してきました。
そのため、ブログを通じて新しい医学知識を入手するよりは、スタッフ一人一人の性格や考え方を患者さんに身近に知ってもらった方が信頼される治療に近づける手助けになるのではないかと考えました。そのため、ブログのテーマは特に制限せず、日常生活の中で感じたことや考えたことなどをスタッフ有志に書き続けてもらい今日に至ります。
その間には、患者さんから
“次のブログまだですか?”
“いつも楽しみに読んでますよ。”
と声をかけてもらい、スタッフ皆とても励まされた記憶があります。
16年間の月日は多くの出会いや別れのある喜怒哀楽様々な日々でしたが、無駄な感情をそぎ落として突き詰めて考えればすべてが“感謝”しか残らないように感じます。
職員ブログは今回の私の投稿を最後に終わらせていただきます。
長い間のご愛読本当にありがとうございました。
スタッフの皆さん、愛読いただいた皆さんに心から感謝いたします。
2025年4月15日 院長 山下直樹