ASPIRE2023参加報告
- 2023年10月14日
- 培養室
肌寒くなって参りましたが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
業務が非常に立て込んでおりご報告が遅くなりましたが、先月オーストラリアで開催されたアジア太平洋生殖医学会(ASPIRE2023)に参加してきました。当院で導入しているSpindle Localization-ICSI (SL-ICSI)は、加齢により低下する受精率の改善に有効であることを発表してきました。SL-ICSIは卵子の核(紡錘体)を特殊な装置で確認・診断した上で顕微授精を行う技術です。卵子の核の状態や位置を確認することで、ガラス針の穿刺タイミングを図ったり、穿刺位置を微調整したりと、症例に合わせた顕微授精を行うことができます。難しそうなことを書きましたが、技術的な難易度は高くありません。
英語でのプレゼンテーションは久しぶりでしたので、少しの期間ですが英会話学校に通い、発表内容や発音について修正した上で本番に臨みました。発表自体は出来たのですが、会場からの質問がさっぱりわからなかったです(笑)。日本以外のアジア圏の方々からは『(SL-ICSIは)時間がかかると思うが、受精後の影響はないのか』『核が卵子の裏側にあったらどうすればよいのか』など、SL-ICSIを経験したことのないような方々からの質問が多くありました。一方で日本の方からは『抗セントロメア抗体陽性患者は核が見えないように思うが、どう対処しているか』など、普段からSL-ICSIを実施している施設ならではの質問をいただきました。
今回の学会参加では、アジアの中で日本の技術は未だトップに位置しているように思えました。しかしながら中国をはじめとしたアジア諸国では技術が近年急激に発展しています。日本には複雑な手続きや決まり事が多くあり、これらが技術発展にブレーキをかけている側面があります。責任の所在を明確にし、規制を簡潔にし、手続きを整備・整頓をしなければ、あっという間に置いてけぼりになりますね。
カンガルーに餌付けしました!まぁ可愛らしい(笑)
オーストラリアの道中については9月16日の八代室長のブログをご参照ください。
培養室 河野