ピエゾ導入と卵子活性化法
- 2014年11月26日
- 研究室
もうすぐ12月。寒さも厳しくなってきましたが、皆様はお元気ですか?
高度生殖医療研究所の中田です。
ブログを書いている現在11月24日深夜2時、徹夜である患者さんの卵子の受精にとことんおつきあいしています。
他院の培養師からはどうしてそこまでするの?と言われるけれど、そこまでしてもどうしても受精して移植してもらいたいなと思うのが答えです。
さてさて、ピエゾ始めますとのブログから2か月経ち、現在培養室では私を入れて4名がピエゾ対応をしています。培養師をよく輩出しているある大学でのマウスのピエゾICSIでの胚盤胞発生率は10%であるのに対し、ピエゾを行っているうちの培養師は50~100%の胚盤胞発生率です。これは誇ることのできる率でもありますし、何より、ピエゾを行う培養士の自信につながると私は思っています。それに自分がピエゾで顕微授精して胚盤胞になるというのはやはり培養師のプライドですから、みんなかなり頑張っていました。現在はもう一人、毎回毎回、必死に頑張っている培養師がいます。彼女の胚盤胞率は25%くらいで決して悪くない率ですが、臨床で自分が実際にやるためには練習をもっと頑張りたいと言ってくれます。彼女の姿勢や言葉が何より嬉しい言葉です。
しかしながら、顕微授精で難しいのは、ピエゾを用いた優しい注入以外に、タイミングが重要です。卵子が成熟していても、まだ卵子の核が安定していないことがあります。その際には、核が安定しているかを特殊な装置を使って簡単に短時間に調べることができます。それは、紡錘体(スピンドル)が安定しているかを見る方法です。もし、顕微授精をしたのに異常受精になった場合、スピンドルを確認することで正確に顕微授精のタイミングを合わせることができる可能性があります。医師と相談してみてください。異常受精にはその他にも原因がありますが、スピンドルを確認することで回避できる可能性もあります。
次に卵子の活性化方法ですが、現在、顕微授精してもなかなか受精しなかった方に電気刺激法を行っています。この導入により妊娠し卒業された方もいらっしゃいます。しかしながら、電気刺激を行ってもなかなか受精しない方もいます。現在、導入予定がカルシウムイオノフォアという薬剤を使用する方法です。電気刺激と同様に日本でも世界でも実績のある技術です。当クリニックが導入を後にしたのは、物理的刺激の電気刺激とは違い、薬剤は心配な点があるからです。現在まで、その薬剤の使用で生まれた赤ちゃんに何か具合を悪くしたということはありませんが、最初は研究で慎重に進めています。準備と検証は終わりましたので、臨床に移れる段階に来ています。
なんだか、技術の話ばかりになってしまいましたが、読んでいただけているか心配です。
先週は実験で金沢に行ってきました。兼六園の松も雪つりをはじめ、もう冬なのだなと思いました。
やっぱり市場はいいものですね。近江町市場は活気があふれ、私は自分の胃袋の忠告を無視してつまみ食いをしまくり、後から食べ過ぎによる腹痛に苦しみました。