「精子の染色」
- 2015年10月28日
- 研究室
すっかり秋になり、紅葉も綺麗な頃となりましたが、皆様はいかがお過ごしでしょうか?
高度生殖医療研究所の中田です。
本題に入る前に、このところ新聞でも話題になった不妊治療の患者さん、主に女性ですが、職場の理解が得られず、なかなか治療に通えない、ハラスメントを受ける、などの声が取り出さされるようになりました。待合室で待っている患者さんを見ると、お仕事や家庭の事情もありながら、今日も来られたのだなと思い、なんだかそれだけでも胸がいっぱいになります。職場で自分の事情を説明して、仕事を他の人よりも頑張っても、理解のない男性上司がいたら、本当に大変だと思います。私も思い出すとつらくなりますが(今の職場ではないです。)、どうか負けないで欲しいなと思います。ご主人たちにも奥様に優しくしてほしいなと思いますが、優しい方も多いですよね。受精したかどうかの確認のお電話とか、ご主人がかけてきてくださることもあるので、イクメンな方も多いなと思います。きっと、そういうご主人たちは、お仕事も忙しいと思うけれど、職場でも優しい上司なのだろうなとお電話をいただくと思ったりします。
さてさて、本題に入りますが、高度生殖医療研究所では、精子の検査もしています。通常の精液検査の他に、どれくらい生きている精子か、どれくらい精子の形態が正常か、などです。
その際に、使用する方法が染色する、という技術です。
生存している精子は蛍光色素で綺麗な緑色に染まり、残念ながら死んでいる精子は赤色に染まります。また、最近導入したDiff Quickという染色法では、精子の形態がわかります。
さらに形態を調べることで、精子が受精するために必要な部分が足りない場合などにより、顕微授精を繰り返してもなかなか受精しない方には、電気刺激などの補助的な刺激を与えてあげることもできます。
奥様たちにはうちの強くて優しい医師たちがいますけど、ご主人たちにはうちの培養のスタッフと私もいますので、何かご心配な点がありましたら、医師にご相談していただけたらと思います。
写真は先月末に学会で宮崎に行った後に、親戚のいる鹿児島に久しぶりに行き(宮崎も親戚がたくさんいますが)、仙巌園で撮影した櫻島です。ゆっくり見ることができました。鹿児島は私のルーツです。噴火を繰り返す櫻島と、時間によって色の変わる錦江湾は、本当に素敵です。