酸化ストレス
- 2016年12月9日
- 培養室
こんにちは。
11月も終わり2016年も残りわずかとなりました。一段と冬らしくなり、気温もグッと下がってきましたが体調崩されてないでしょうか。先日の54年ぶりの積雪には驚きましたね。藤沢でもうっすら積もり、興奮して思わず写真を撮ってしまいましたが、今冬はどうなってしまうのだろうと少し心配になりました。私はコートにマフラーは必須で、もう少しで耳あてがデビューするところです。
さて先日、活性酸素と不妊治療に関するセミナーに参加してきましたので、その内容を少しお伝えしたいと思います。 まず、活性酸素とは簡単に言うと毒性の高い酸素分子の総称で、“活性酸素種”と言うこともあります。活性酸素としてよく登場するのが、スーパーオキシドやヒドロキシラジカル、過酸化水素です。この毒性の高い活性酸素ですが、体内では様々な場所で日常茶飯事的に作られています。特にミトコンドリア内で行われる呼吸では、酸素分子の1〜3%が活性酸素として必然的に作られます。
一方、活性酸素が体内で害を及ぼさないように活性酸素を消去するシステムも体内には備わっています。これが抗酸化システムです。そして、この抗酸化システムと活性酸素発生のバランスが崩れ活性酸素優位の状態がいわゆる酸化ストレスとなります。
酸化ストレスは(血中の活性酸素値は)、加齢とともに上昇していきますが、喫煙やアルコール摂取、メンタル的なストレスでも上昇していきます。生活習慣病(糖尿病や高血圧など)は酸化ストレスが原因とされています。今回のセミナーでは内科医の先生もご講演されていましたが、実際にBMIが高い方や血圧が高い方、糖尿病の方は抗酸化力が低いというデータを示されていました。
酸化ストレスは卵子や精子にも影響を与えます。抗酸化システムが活性酸素を処理し切れなくなると、活性酸素はミトコンドリアから漏れ出て細胞に障害を与えるとされています。これは卵子や精子においても例外ではなく、活性酸素が卵子の質の低下を招き受精障害や成熟障害などの原因になると考えられています。つまり、活性酸素は細胞レベルで傷害を招き様々な疾患の原因になっていると考えることができます。
そこで、抗酸化力を高める方法として、今すぐ始められることは抗酸化物質を取る+習慣的な運動をするということであると内科医の先生はじめ不妊治療専門の先生方も仰っていました。抗酸化物質はビタミンC・E、魚などに含まれるDHA、ポリフェノールなどです。習慣的な運動とは、ウォーキングやスイミングなどの有酸素運動(30分以上/回、週3回)が効果的とのことでした。メカニズムが難しいので省きますが、抗酸化物質の摂取のみでは効果はあまりなく、運動を一緒に行うことで抗酸化力を高めることが期待できます。
活性酸素=有害物質と捉えがちですが、特に細菌やウイルスからの生体防御において役立っています。しかし、抗酸化システムとの均衡が保たれない場合、活性酸素は有害物質として体内に影響を及ぼします。酸化ストレスが原因となる生活習慣病を予防する上でも、抗酸化力を高める方法を実践してみてはいかがでしょうか。
培養部 中嶋