C-IVFのススメ(横浜ART研究会参加報告)|山下湘南夢クリニック|藤沢市の不妊治療/体外受精

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C-IVFのススメ(横浜ART研究会参加報告)|山下湘南夢クリニック|藤沢市の不妊治療/体外受精

C-IVFのススメ(横浜ART研究会参加報告)

 暑さが落ち着き、夜はとても涼しくなってきましたが、いかがお過ごしでしょうか。培養室の河野です。

 久々の投稿となってしまいましたが、826日に第19回横浜ART研究会に参加してきましたので、内容を少し紹介させていただきます。今回は精巣組織培養や、顕微授精時における正常形態精子の選別と意義など、精子の面から考える不妊治療、ミトコンドリアテクノロジーに関する内容でした。

 精巣組織培養とは、精巣組織を培養することで、精子の元となる細胞を成熟した精子まで育てる技術のことを意味します。現在、実験動物のマウスにおいてはほぼ手技が確立しているとのこと。一方、マウスでは良好な結果が得られていますが、他の実験動物や臨床においては、確立までの道程はまだ遠いようです。精子形成に必要な成分を明らかにすることができれば、他の動物種でも応用性が高くなってくるとのことでした。当院でも、TESE(精巣内精子採取術)を行っても精子が全く見当たらない患者さんがいらっしゃいます。精子がわずかでも見つかれば顕微授精が行えるのですが、全くいないとなると打つ手がありません。そのような患者様の福音となる技術が早く確立することを願います。

 次に、顕微授精に使用する精子について、私たち培養師は「正常形態」精子を選別しています。その正常形態の基準となっているのがKruger strict criteriaです。これは1960年代から用いられています。それが50年後の現在においても、現役の判断基準となっています。難しい症例が増えてきている現在、精子の形態学的な判断だけでは限界があると考える先生方もいらっしゃいます。顕微授精の反復不成功例が、人工卵管法で妊娠に至った例もあるようです。講演の内容では結論が出ていないようでしたが、自然(ふりかけ法)に勝るためにはもっと研究が進まなければならないようです。精子精製法をさらに工夫し、より「正常」な精子をどのように選別すればよいのか、今はそれを一生懸命考えることが必要な時期ですね。

 当院ではできるだけ精子自身、卵子自身に負担をかけないよう、精子が少ない患者様でも、可能な限りC-IVF(ふりかけ法)が実施できるように工夫をしています。もし受精しなくても、その日のうちに顕微授精でレスキューする技術も確立しています。ご自身の精子、卵子の力を信じて、積極的にC-IVFにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。