精子の精製
- 2017年12月19日
- 培養室
寒さが厳しくなり、一気に冬になりましたね。厳しい寒さに乾燥もあり、風邪や特にインフルエンザには気をつけたいですね。
今回は精子の精製について簡単にご説明したいと思います。
患者様にお持込みいただいた、あるいは旦那様に採精室で採精していただいた精液は、精製処理を経てから、体外受精や人工授精に使用します。精液中には、運動性が悪かったり、形態に異常があったりする精子も含まれます。生体内での受精過程では、そのような状態のよくない精子は、膣から受精の場である卵管にたどり着く前に淘汰されますが、体外受精や人工授精にその過程はありません。そのため、良い精子のみを集める精製を行う必要があります。
精製作業の第一段階として、下図ように、精子を分離させる薬剤を層にし、その上に精液を載せて遠心分離する不連続密度勾配遠心法という方法を用いて、生存精子を回収していきます。
回収した生存精子は、一度培養液で洗浄してから、体外受精に適した濃度あるいは人工授精に適した液量まで希釈を行い、精製作業は終了となります。
同時進行で精液検査も行っています。精子をカウントするための器具(マクラ―)に少量の精液を滴下し、顕微鏡下でマクラーのマス目の中の全精子数、運動精子数、正常形態精子数を数え、全精液中での濃度を算出します。患者様にお渡ししている精子結果はこのカウント作業によって算出された精子濃度となっています。また、精液検査は、下図に示すような世界保健機構が定めた基準に基づき行います。
同様に、前述した希釈を行ったあとの生存精子に関しても、カウント作業を行っています。人工授精では、全精子濃度および運動精子濃度の算出を行っています。体外受精に関しては、全精子濃度および運動精子濃度に加えて、前進性のある運動精子濃度および正常形態精子濃度の算出も行い、ふりかけ法または顕微授精のどちらの媒精方法が可能かの判断もしていきます。
培養 飯村