胚盤胞孵化補助(アシステッドハッチング)
- 2017年12月30日
- 培養室
こんにちは。前回のブログでは当院の胚盤胞の評価について書かせて頂きました。
今回は胚盤胞移植の際に行う胚盤胞孵化補助(アシステッドハッチング)についてご紹介いたします。
その前にまず胚の発生について簡単に説明いたします。
まず、精子と卵子が出会うと受精卵となり2つの核が形成されます。
この核が消えてから分割を開始し、およそ8-16細胞くらいにまで分割したところで細胞同士がくっつき始めます。
細胞の大部分がくっついた後、腔が形成され胚盤胞となります。そして胚盤胞は子宮に到達した後、内側から膨らみ透明帯を破り外に飛びだし着床します。
これを孵化といい、胚にとって着床するための一番の頑張りどころです。
しかし、ここで透明帯を破る前に力尽きてしまう胚もいます。
図1)
そこで、胚の成長過程、既往歴、治療歴を考慮しアシステッドハッチングを行うことがあります。
アシステッドハッチングには透明帯の一部に穴を開ける方法と、完全に透明帯を除去する方法があります。
当院では透明帯の完全除去を行っています。透明帯に細胞が引っかかってしまうと孵化がうまくいかず、着床できなくなる場合があります。完全除去はそのリスクを避けるためです。
図2)
また、着床に必要な遺伝子の働きが促進されるという報告もあります。
透明帯の完全除去により胚は物理的なストレスを受けやすくなります。しかし日々技術を磨き、スムーズに移植を行えるようになれば万事解決です。
今年もあと少しとなりましたが体調を崩されないようお過ごし下さい。
また、来年も患者様に良い結果が出るよう日々精進していきたいと思います。
培養部 阿部