寒さが厳しい毎日が続きますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。培養室の河野です。

　先日の降雪で来院に支障が出た患者様も多かったと思います。南国育ちの私としては、久しぶりの降雪にワクワクしておりましたが、帰宅途中に2駅の距離を歩く羽目になりました。吹雪で車通りも少なく、薄暗い外套の明かりの下、トボトボと歩く家路は長くつらいものでした。雪国の方の辛抱強さを心より尊敬します。

　去る2月3日に恒例の不妊治療説明会を開催し、今回も多くの患者様が足を運んでくださいました。今回は培養部のパートを中嶋技師が担当しました。スライドの配置や配色等非常に見やすく工夫されており（本人曰く、テイストを変えてみた）、過去の説明会に比べて随分とプレゼンテーション能力が高くなったと、聴いていて感激しました。今後、学会等でより広くその力を発揮してくれることと思います。

　説明会終了後に患者様からいくつか質問を受け、過去に他施設で治療を経験された方もいらっしゃいました。これまでの説明会を通して感じたことは、治療における媒精法や培養結果を十分に把握できていない患者様が少なからずいらっしゃるということです。

 

　少し本題から逸れますが、私はこれまで歯医者に最後まで通えたことがありません。歯の痛みを覚えて治療に通院する訳ですが、痛い歯が治った後に他の虫歯（痛みは出ていない）がある等の理由で、いつ終わるかわからない通院が始まります。もちろん全ての歯医者ではないと思いますが、私の通院した歯医者はほぼ例外なく、治療の終わりが見えませんでした。　　

　先日、前歯の見える場所に虫歯ができてしまいました。笑うと虫歯が見えてしまい恥ずかしかったので、全く痛みはありませんでしたが、治療をすることにしました。そこで近所に新しく開業した歯科医に足を運びました。

　院長先生が診察してくれましたが、この後の展開に非常に驚きました。大きなモニターに歯の撮影写真、それも恥ずかしい前歯だけでなく他の虫歯全てが一面に映し出されました。　

「まずはこの前歯、〇を使った治療、△を使った治療が候補として考えられます。〇は保険適応で費用はこのくらい、治療期間は…。△は保険外になりますが…。それぞれのメリット、デメリットは…。次にその2本隣のこの歯ですが、治療に緊急性はありませんので、今後時間があるときに考えればよいでしょう。次に奥歯ですが、これは隙間にある虫歯なので今のうちに治療をすることをお勧めします。この歯の治療には〇、△、▢の選択肢があり、治療期間は…メリットは…」。と、治療法、費用、必要な治療期間について詳しすぎるくらい説明をしていただきました。予算も治療にかける時間もいっしょに考えてくれる歯科医に初めて出会い、治療計画に納得がいったためか、現在もストレスなく通院できています。因みに治療中もこんな感じ。「今麻酔をしています。痛みを伴わないようにゆっくりと麻酔しますので、あと7秒ほど我慢してください。…5…6…7。お疲れ様でした。」

 

　データに基づく納得のできる治療を進める上で前提となるのは、治療の状況を、医療機関側だけでなく患者様ご自身も把握していることです。患者様と接する際、私が通院している歯科院長の姿勢はとても参考になりました。患者様が欲しい情報は何か、提供できる技術として何が必要であるか。一人ひとりの患者様について、医局だけでなく、培養部だけでなく、クリニックとして最善の方法を提供できるよう、より良いシステムを提案していかなければならないと考えています。