夢見草
- 2018年4月5日
- 看護室
みなさんこんにちは。
あっという間に桜が散ってしまいましたね。
タイトルの夢見草は桜の別称です。夢のようにはかなく散ってしまうからだそうです。
まったくもって昔の人は粋な名前をつけます。
ある夜、友人が桜を見て「ずっと咲いていたらいいのに」とぽつりと呟いたことがありました。
確かにもう少し長く咲いていたら、時間を気にせずにゆっくりと桜を楽しめるなと思いました。
しかし、春のほんのひと時に咲いている姿が私たちの胸を打つのであって、季節を問わず咲いていたならばこんなにも切なく名残惜しくはならないのでしょう。
桜についてもうひとつ。私は作家の梶井基次郎が大好きなのですが、その著書の中に「桜の樹の下には」という短編があります。「こんなにも桜が美しいのは、この樹の下に死体が埋まっているからだ」と。
夜桜が美しいけれど少しだけ恐ろしく不気味に感じる私にとって、梶井の文章はその心を代弁しているようでした。
それからというもの、何度となく春の夜に読み返しています。
さて、そんな日本人がもれなく愛する桜ですが、私も遅ればせながら堪能することができました。埼玉の熊谷でのお花見です。
散っている桜も多かったのですが、数年ぶりにゆっくりと桜の観賞ができました。
力強い菜の花の黄色も鮮やかで、何枚も写真を撮ってしまいました。
ミツバチも脚に花粉をたくさんつけて、重そうに飛んでいる姿が愛らしかったです。
年を重ねるにつれてお花見をする機会も減ってきていた私ですが、やはり心癒される時間は大切だなと改めて思いました。来年もまたお花見から春を始められるように季節に敏感な自分を忘れないように過ごしていきたいです。
最後に、観光に来ていたベトナム人の恋人たち。
春は楽しんだもん勝ちですからね。浮かれてるくらいがちょうどいい。
きっと彼らの季節も夢見るよりも早く過ぎていくのでしょう。
なんてったって、青い春ですから。
看護助手 今野