英語とアジア生殖医学会での発表
- 2019年5月17日
- 研究室
新緑の季節になりましたが、皆様はいかがお過ごしでしょうか?
高度生殖医療研究所の中田です。
5月2日から5日まで、香港で開催されたアジア生殖医学会(ASPIRE)で2題口頭発表をして参りました。クリニックのお知らせ欄でも挙げていただきましたが、ポケットWiFiがヒト精子の運動性、生存率に影響する、という発表内容が学会事務局の方の心に留まったのか、海外のメディアにリリースされることになりました。発表の準備、そのほかの仕事と、立て込んでいる中でしたが、とてもありがたかったです。結果として、ニュージーランド、オーストラリア、イギリスのテレビ局、ラジオ局、ネットニュースとたくさんの依頼をいただきました。そのひとつひとつに対応するのは、もちろん英語です。伝えたいことを伝えられない、というもどかしさ、これを克服するためには勉強以外の何物でもないと思いました。
私は、人並みよりも多い好奇心のおかげで、英語を勉強することは小学生の頃から大好きでした。小学生の頃は母親に頼み込み、外国人の親子と泊りがけで出かけるツアーというものにも何度も参加し、日本人よりも外国人の子供と一緒に遊ぶのが楽しかったのを覚えています。いろんな英語の歌や遊びを教えてもらって、とても楽しく遊びました。中学では英語劇のクラブに入って、ヘレンケラーのヘレン役(英語を話すというより言葉を話せない役でしたが)など、自分なりに英語に近い環境にいるように努力したかなと思います。
高校に入ってから、英語の発音や会話よりも大学入試のための英語の授業が多くなり、ある先生の英語の授業で、その文章を読みなさいと言われ、読んだところ「答えはあっているけれど発音が全くなってない。」と言われました。正直、とてもショックでした。私は、発音ができないのは学校教育のせいだ、自分のせいではない、とひねくれました。
大学時代も研究室の先生が外国の研究者を呼んでくれて、あちこちに案内することがあった時に、一緒に行った友人が英語の発音やセンテンスになっていない言葉でも、たくさん発信していることにとても感動しました。英語にならなかったら、日本語だとこう言うんです、と英語で言っていたりしました。私は、友人をとてもすごいと思いました。
大学を卒業し、就職してからも、外国の方と出会う機会が多く、自分の実験の説明をするときには、映像を示しつつ身振り手振り、筆記などで伝えたりとしていましたが、当時の私の上司からは、叱られ、嘲笑されました。実験のことをなんとか伝えた外国の方からはとても感謝していただけてうれしかったですが、私には日本人の前で自分の英語を話すことの方がとても怖くなりました。
その後、私にとっては、外国人と話すよりも、英語のできる日本人の前で英語を話す、ということが、恥ずかしいを通りこして穴に入って出たくない、もう完全に無理、と思うようになりました。
とは言っても、海外でも英語の発表です。日本人とは違う視点や考えを知りたいと思いますし、話してみたいと思うことはたくさんあります。もう5年になりますが、英会話のレッスンを続けてきました。幸いにもいい先生たちに巡り合えました。
でも、今回もまだまだ全然だめだ、もっとがんばろう、笑われてもそれでもいいから自分の研究を話せるようになろう、1年前よりはマシになろう、質問に少しでも答えられるくらいにはなろう、と思っている矢先に、メディアリリースになり、英語の質問がたくさんきて、もうかなり大変でした。頭痛、めまい、歯痛、胃痛の毎日でした。
また、最近ではマレーシアのクリニックの培養士さんたちが研究に興味をもってくれて、わざわざクリニックにきてくれて、それを英語で説明したり、今回のようにリリースの内容を英語で説明をしたりと、10年前の私だったらたぶん逃亡していたかもしれないことを自己満足度20%でもできたのはよかったなと思います。脳細胞は死んでいく一方でも、興味があることだったら、微々たるものでも伸びていってほしいなと思う毎日です。
私がここでお話したかったのは、トラウマになりそうなことでも、少しずつでもがんばったら、ヒトの評価は全然ダメであっても、結果はどうであっても、自己満足度は少しずつ上がるかもしれない、ということです。逃げてしまったらゼロのままで、むしろマイナスくらいで、ヒトからいろいろと言われても自分ががんばれた、少しでもレベルがあがった、よく頑張ったじゃない自分というだけでも、結果が大事な世の中だったとしてもいいのかなと思います。自分のことを自分が褒めてあげることもきっと大事ですよね。能力を超えるには、諦めない気持ち、戦う気持ち、そしてきっと努力なのだろうと思います。
そうでした!今回は香港の学会発表のことでしたが、発表も自分なりに楽しくできて、質問にも少しは答えられたかなと思います。でも、やっぱりまだまだなので、勉強を続けようと思います。
写真は香港で行った黄大仙というお寺です。占い師さんが150人もいる、占いスポットとしても有名なところです。私は手相占いをしてもらいましたが、肝臓に気を付けて、せっかちにならなかったら92歳まで生きれるヒト、とてもよく動きあちこちに行くヒト、専業主婦に完璧に向かないヒト、などなど言われました。当たっていることが多かったので驚きました。