「ロカ岬と戦友」
- 2015年7月2日
- 研究室
梅雨の中に夏の陽射しの強い日もあるこの頃ですが、皆様はお元気ですか?
高度生殖医療研究所の中田です。
私は5月末に栃木県で卵子学会、6月中旬にポルトガルでヨーロッパ生殖医学会(ESHRE)、そして6月末に福岡でアンドロロジー学会、それぞれ発表してきましたが、学会てんこ盛りのこの頃でした。中でもポルトガルは初めて行くヨーロッパでしたが、何より学会に発表しに行くことができることもとても嬉しかったです。
ポルトガルのリスボンという都市で学会は開催されましたが、街中にある石像は海の方向に建てられていることも印象深かったです。さすが、大航海時代に海に漕ぎ出し、新大陸を発見し、日本まで来た国だと思いました。日本でも坂本龍馬の石像が桂浜から海を望む場所に建っていますが、龍馬が行きたかった国のひとつはポルトガルかもしれないと思いました。
ユーラシア大陸最西端のロカ岬にも行くことができました。「ここに地終わり海始まる」と石碑に刻まれた言葉も印象的でした。MISIAの曲にEdge of this worldがありますが、私の中ではその曲がポルトガルに行く時のテーマソングでした。悲しいけど希望を見つけて自分の信じるものをみつけようとする恋の歌詞ですが、ロカ岬から海を見ていたら、昔のポルトガルの女性が、ロカ岬で好きな男性と将来を約束したり、海を眺めたり、旅立つ男性を見送り、無事を祈ったり、帰りを待ったり、残念だけれど事故や理由があって帰ってこない男性をこの場所で待ったりしたのだろうか、とも思ったりもしました。また、航海に出る男性も希望を見つけたいから、仕事だから、とかいろいろな理由があったかもしれないけれど、「戦友」とともに海にでて、またここに帰ってきたいと思いつつ、出航したんだろうかとか思ったりしました。
一緒に船に乗りたくても乗ることもできなかった女性もいたのだろうなとも思ったりしました。女性に生まれたことを後悔することが多かったですが、今の時代で女性に生まれたのはラッキーなことだなと思えるようになりました。妄想好きですみません。
少しは学会の話をしないとと思います。海外の学会で日本のクリニックの友人とも数人に会えました。海外からの発表については、日本の発表の方が、レベルが高いと思うものも多かったですが、いろいろと勉強になりましたし、日本から離れた地で会えた友人たちは「戦友」だなと思いました。一緒にリスボンに行った同僚たちも「戦友」です。
私は「親友」と呼べる人が少ないですが、「戦友」は「親友」よりは多くいると自分では思っています(片思いだったら困ってしまいますが)。
患者さんのみなさんはいますか?辛いときでも甘やかさず、自分も一緒に戦ってくれる人。優しい言葉やうわっつらの言葉はいくらでもかけることができるけれど、聞きたくないような言葉で励ましてくれる人。
私は医療という現場では、その症状に対して戦うことからも、患者さんと医療従事者は「戦友」の関係に近いのではないかなと思います。私はこれからも患者さんが戦うときの武器作り、同僚であり「戦友」たちが安心して患者さんに使える「よりよい技術の開発」を頑張りたいと思います。