「再会と学会」
- 2012年9月25日
- 研究室
こんにちは。研究員兼培養士の中田久美子です。
雨が降るたびに、秋らしくなって参りましたが、皆様は体調を崩されたりはされていないでしょうか?
8月末になりますが、大阪で開催された受精着床学会に参加してまいりました。
その際に、懐かしい先生方や培養士の方々に再会して、YSYCのブログを読んでるよ、と嬉しい言葉をいただきました。もう少し研究のブログもみたいなとのリクエストもいただきましたので、そのリクエストにお答えして、もう少し頻度を増やさせていただこうと思います。
日本で妊娠や生殖に関わる主な学会は、日本生殖医学会、受精着床学会、哺乳動物卵子学会というものがあります。これらの学会では、日本の大学病院やクリニック、発生学を行っている大学の研究室から、臨床での症例報告、臨床に関わる研究、実験動物を使った基礎研究などが発表されます。これらの学会で発表することは、病院にとっても研究にとっても、大きな意義があります。発表しなくても、その内容を聞きに行くことで、臨床での困難な点を解決する際のヒントになることや、研究へのひらめきが湧くことも少なくありません。
私自身は、海外の学会で3回、国内では何回か忘れましたが、学会発表をしてきました。
それをこのブログを読んでいただいた方がどう解釈されるかはわかりませんが、ご主人が外部でプレゼンをしたのとほぼ同じと思っていただけたらと私は思います。自分や会社がいいと思うものを、会社の代わりに自分の責任で発表し、外部の人に認めてもらうのが学会発表です。現在は、そこまで責任も重くなく、なんでもいいんじゃない?みたいな感じで学会発表されているのもありますが、私自身が20代を過ごした西新宿のKクリニックでは、君がバカにされればクリニックもバカにされると思え、と言われながら、泣きながら(会場では泣きませんが)発表してきました。正直、本当につらくて電車の中でも泣きながら帰ったものでした。でも、私のつらさより、患者さんは毎日どれだけつらいか、それを自分がやっている研究で少しでも希望を持ってもらえたらと自分を鼓舞するしかありませんでした。
学会発表の場では、私個人というよりも私の所属していたクリニックが気に入らないための質問もとても多かったです。今でもいい思い出なのは、北九州の某先生からの質問です。質問には、研究結果からの正当なお返事をせざるを得ませんでしたが、それがお気に召さなかったらしく、「そんなのウソだ、僕が某先生と実験した時にはそんな結果は出なかった。」と言われました。私は「ウソではなく事実でしたので、もう一度検証されてはいかがでしょうか?」とお返事すると、「君の顔は忘れない。」と熱烈?なお返事をいただいたこともありました。当時の上司が謝りに行くくらいお怒りが凄まじく、正直なところとても怖かったですが、私の心臓に剛毛が増えた一瞬でした。その後、その某先生とは別の学会でランチもご一緒させていただいたので、ご心配されないでください。
北九州の某先生はとても患者さん思いの先生ですし、そのほかにも質問をいただいた先生方は皆様とても熱心な方ばかりです。私は質問してくださる方がとてもうれしいです。自分だけで考えているのではなく、同じく興味を持って解決の道を探そうとしてくれている方だと思うからです。
私は研究員と同時に培養士ですので、時々、半年に一度くらいですが、患者さん説明会でお話をさせていただいています。また、時々、患者さんへの卵子や移植する胚のお話もさせていただいていますので、その際には質問してくださいね。時間の許す限り、私が知りうる限りではありますが、お伝えさせていただき、皆様の選択肢の一つになればいいなと思っております。