「動き出す精子」|山下湘南夢クリニック|藤沢市の不妊治療/体外受精

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「動き出す精子」|山下湘南夢クリニック|藤沢市の不妊治療/体外受精

「動き出す精子」

 

あけましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いいたします。

高度生殖医療研究所の中田です。

 

お正月、皆様はどのように過ごされたでしょうか?

私は箱根駅伝に夢中になっていました。というのも、私の母校が往路は2位というかなりの頑張りを見せたこともあります。復路で抜かれてしまいましたが、母校だけでなく、どの選手もまっすぐにまっしぐらに前を向いて、つらい山道も走り続けるその姿には涙を流さずにはいられませんでした。

 

さて、本題となりますが、昨年の年末、ある患者さんの精子をたまたま研究用に提供いただき、私が実験している技術を確かめてみました。凍結融解後の精巣上体由来の精子で、融解後もほとんど動かず、培養師が目をこらしてなんとか運動性のある精子を確認し、顕微授精になりました。私が確かめたのはその翌日の精子でした。当日ですら、ほとんど動かなかった精子でしたが、その処置により、全く動かなかった2匹の精子が1時間を経過したあたりから、屈伸運動のような動きをはじめました。目の錯覚で幻をみているのではないかと思い、培養師と医師を呼んで見てもらいました。動いている、と言われました。

私は、自分の目を信用しているので、誰かが悪く言っていることでも自分の目が見ていないことなら信じないことにしていますが、実験においては一番信用できません。それは、自信がないとかではなく、他の人が見ても信用してもらえるかどうか、他の人がやっても再現できるかどうか、だと思います。

 

「動き出す精子」を見ていると、科学的ではないですが、受精するために諦めない姿勢を感じます。まるで、箱根駅伝の選手のようです。そんな精子を見ていると、自分も諦めたら行けないなと元気つけられます。実験している時、臨床で患者さんの卵子と精子に対峙するとき、つらいこともたくさんありますが、「動き出す精子」を見ているだけで、なんだかうれしくなってしまいます。

ただ、「箱根駅伝」はゴールがあるけれど、「動き出す精子」のゴールは受精でも、妊娠でもなく、その技術で生まれた赤ちゃんが「箱根駅伝」に出れるような、出れなくても徒競走で転んでも頑張って走る子供になることかなと思います。

ちなみに、その技術で生まれたマウスの赤ちゃんたちは元気に走り回っています。

 

「動きだす」ためには、お薬を使ったドーピングもありますが、痙攣したような動きで動く距離も短いのを見ていると、呼吸を整える方法の方がいいのかなと、やっぱり「箱根駅伝」を想像してしまいます。「動き出す精子」について詳しいお話がご希望の方は、医師か中田にお訪ねいただけたらと思います。

写真はうちのクリニックからすぐのラーメン屋さん「そよ風」さんの「極み煮干しラーメン」です。実験や臨床で泊まる時や、見学者の人を連れていきます。スープが本当に美味しいです。深夜に一人で行っても、スープが沁みてきて頑張るぞ!とやる気をもらいます。よかったら、食べてみてください。