「水素分子処置の結果報告」
- 2015年2月2日
- 研究室
雪の降る時候となりましたが、皆様お元気でしょうか?
患者様へのお知らせ、でご連絡させていただきました、水素分子処置による精子の運動性への効果、につきまして、提供いただいた方の結果をご報告したいと思います。
結果は個人情報保護のため検査番号で示しました。
運動率が40%以下と40%以上の方を別々で示しましたのは、WHOの検査基準で40%以下では精子無力症が疑われるためです。
検査させていただいた9名の方のうち、運動率が40%以下の方では、有意に精子の運動率が向上しました。40%以上の方では運動率においての差は見られませんでしたが、精子の直線的な運動性は向上しています。
射出精液に精子の運動性がない場合、動きの悪い、または動きのない精子を使って顕微授精を行うことになります。このような場合、受精・胚発生・移植後の妊娠率が極端に低いことが分かっています。そのため、運動性のある正常形態精子を見つけ出すことが顕微授精を成功させる鍵を握っています。
つまり、運動性が0%から1%に増加することにより、妊娠につながる顕微授精が施行できる可能性があり、さらに運動性が5%から15%に増加することにより、顕微授精だけでなく、体外受精を行うこともできると考えています。
運動しているけど多少形態が良くない精子が1匹いて、卵子が1つあるから、その精子を顕微授精していいのでしょうか。形態も良好なのにも関わらず、前進しないという理由だけで選別されない精子と運動性は高いけれども形態が良好とは言えない精子がいた場合に、どちらを選別した方がいいのでしょうか。これまではその選択がなおざりになってきました。
活性酸素にさらされて、運動性が低下しただけの精子を水素処置で元の状態に戻してあげることができれば、顕微授精できる精子もたくさん確保できます。
弱いから選ばない、足が速ければ1等賞という考え方は、既成概念であり一般論であってそうではないかもしれないし、今あるものをどう最前を尽くして何かしらの手を差し伸べることができるかの方が、私は大事だと思っています。
卵子は1か月に1個作られてきますが、精子はその倍の2ケ月かけて作られてきます。数は違うけれど、作られるまでにかなりの過程を経て作られてきたものです。それを最終的に活性酸素なんてものに負けてほしくないです。
トライアルの期間は1月中としていますが、ご希望の方がいましたら、医師にご相談していただければと思います。
まだまだこれで満足せずに、もっとよくなるように研究も頑張っています。皆様も毎月毎月頑張っていると思いますが、私も培養室も頑張っていますので、何か質問などありましたら、ご連絡いただければと思います。
話は変わりますが、24日から25日にかけて、ある患者さんの卵子を受精させるために、つききりでお世話させていただいていました。江ノ電の高架下を通り、ホテルからクリニックまでの道を何度か往復しました。人にはよくそこまでやりますねとか、もういい歳なんだから(余計なお世話です)とか、今が中間地点なんだから無理をしなくてもいいのにとか言われるけれど、そこまでしたから偉いとか、どうとかより、受精の反応を見届けるまでは心配ですし、何よりうれしい瞬間なんですよね。
江ノ電を見ると鎌倉高校前のキラキラと鮮やかに煌く湘南の海が浮かんできます(夜中の妄想のひとつですが)。患者さんもこのブログを読んでいただいている皆様も忙しいかもしれないですが、暖かくなったら是非行ってみてください。
以下が水素分子処置の結果になります。ご参照ください。