「質問する力」
- 2017年10月10日
- 研究室
稲穂が金色になり、収穫も始まる秋となりましたが、皆様はいかがお過ごしでしょうか?
高度生殖医療研究所の中田です。
9月は当院の説明会、講演の依頼や実験で慌ただしく過ぎてしまい、久しぶりのブログになってしまいました。
9月末に日本生殖鍼灸標準化機関の研究会で講演をさせていただきました。日本生殖鍼灸、つまり、不妊患者さんに鍼灸をされている先生方の会です。講演は2時間弱、その後の質問も様々な内容をいただき、懇親会でもたくさんの質問をいただきました。私は、その先生たちの質問の多さにとても驚きつつ、とても嬉しかったです。
「質問をする」ことは、私はとても大切なことだと思います。日ごろから、自分が何をどう考えて過ごしているか、今よりももっと知りたいと思うか思わないか、考えてもわからないことを知りたいと思うか、思わないか、ヒトから言われたことをそのまま鵜呑みにしていいのか、よくないか、を自分で考える材料にするからです。積極的に質問をすることは、自分の仕事や生き方にも影響してくるのではないか、と思います。しかし、なんでも質問をすれば良いわけではなく、自分でどこまで考えたか、はやはり大切だと思います。
私は子供の頃にアンネフランクやアインシュタインの伝記を読み、ユダヤ人の考え方というものがとても好きでした。ユダヤの教え、では「なぜ?どうして?」が習慣づけられています。
日本人は協調性の民族ともいえるので、「なぜ?どうして?」ということは、空気の読めない人間、と思われるし、煙たがられると思います。しかし、研究の世界ではそれを考えず、思考停止や言われたままに体や手を動かすことは、「向いてない」ということにもなってしまいます。
自分の取り巻く環境の中でも、ささいなことでも、なぜだろう、これでいいのだろうか?自分はどうしたいんだろうか?と考えていくことは、一見すると面倒なことではあるけれど、特に自分自身に関すること、家族に関すること、例えば、治療の面でも必要なことなのではないか、と思います。その疑問を持つこと、疑問を質問することが、今よりも違う自分になれるのではないかな、と私は思うからです。
教科書やネットに溢れた情報を信頼するのではなく、「質問すること」によって自分の置かれた状況がわかりやすくなりますし、血の通った事実を知ることができるのではと思います。事実は良いことだけではなく、苦しくて辛くて認めたくないものもあったりもするのですが。
この頃、新たに手掛けている実験では今まで見たこともない細胞だらけです。わからないことだらけで不安も多いですが、組織や細胞の一つ一つをじっくり観察することから始めました。相当、頭がおかしいと思われそうですが、細胞に「なんでこんな形をしてるの?どうして、その形なの?」と話しかけています。この実験がうまく行って、患者さんの役に立てたらいいな、と思います。