ジュネーブの風「2017年ESHRE(ヨーロッパ生殖医学会)」|山下湘南夢クリニック|藤沢市の不妊治療/体外受精

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ジュネーブの風「2017年ESHRE(ヨーロッパ生殖医学会)」|山下湘南夢クリニック|藤沢市の不妊治療/体外受精

ジュネーブの風「2017年ESHRE(ヨーロッパ生殖医学会)」

すっかり夏空のこの頃ですが、いかがお過ごしでしょうか?

高度生殖医療研究所の中田です。

71日から7日までスイスのジュネーブで開催されたヨーロッパ生殖医学会で発表してきました。

私の発表もですが、いくつか聞きたい発表がありました。精子の運動性を評価する装置が今までは2D(平面)であったのに対して、3D(三次元)での評価ができる装置での発表や、着床前診断でモザイクの胚盤胞(正常細胞と異常細胞が混在している胚盤胞で妊娠の可能性もある胚盤胞)の妊娠・出産例の報告などです。

世界的にも大きな生殖医療の学会での最新の報告を聞きつつ、自分の研究も発表できたことがとても嬉しかったのですが、いろいろな熱い発表を聴けてまだまだこれからも頑張らなければと気を引き締めることができました。

学会の最中に半日だけ市内観光をして、国連と赤十字を見ることができました。残念ながら風のない日でしたので、旗がたなびく様子は見られませんでした。しかし、たくさんの旗の中に日本もあるんだな、と思うと感動でした。

赤十字社は、山下院長にも縁のある団体ですが、アンリ・デュナンが創設して、ナイチンゲールはずいぶん昔にここで活動していて、この建物にも来たのだろうなと思うとやはり感動でした。

話が少し変わります。ご存知の方もいらっしゃるかもしれないですが、阪神淡路大震災や東北大震災の時に、スイスは災害救助犬を派遣してくれて、何人もの方々が救われました。たくさんの刺激臭を嗅ぎすぎるとイヌの嗅覚は無くなってしまうそうなのですが、体重が半分以下になっても、怪我をしてもそれでも人を探し続けた災害救助犬の話には、どうしてそこまで使命感を持ってできるのだろうと尊敬してしまいます。嗅覚が麻痺した犬は警察犬や麻薬取締犬、災害救助犬は引退になります。引退した犬はその後あまり長生きできないとも聞きますので、ヒトと一緒に仕事をする、ということが犬にとってはとても大切な時間なのだろうと思います。私は大学を受験して浪人した時期に、次に大学に受からなかったら、盲導犬や災害救助犬を育成する施設で働けないかと思っていましたし、子供の頃からいつも犬が近くにいました(今はいませんが)。

盲導犬を連れた方と電車でお会いするとお話してしまうことも時々あるのですが、臭いと言って席から離れたり、聞こえるように舌打ちをする日本人も何人も見てきました。ひどい話では、盲導犬は鳴いてはいけないように訓練されているから、ナイフで盲導犬を刺すような事件も起こっています。災害時にヒトが救助に来れない中でも犬が来てくれたり、毎日の生活が犬と共にある人もいるのにと思います。

スイスの街はどこに行っても、イヌを連れた人が普通に電車やバスに乗り、生活の中に犬がいるのは当たり前でした。そんな光景を見ていると日本の社会の行き過ぎた清潔感やゆとりのなさを感じました。

犬の嗅覚があったら、ジュネーブの風はどんな匂いがして、日本はどんな匂いがするのでしょうか。そんなことを考えながら、もうずっと犬のいない生活をしているので、いつかまた飼いたいなと思いました。