トンボのメガネ
- 2019年8月9日
- 研究室
こんにちは。高度生殖医療研究所の甲斐です。
先日、研究室にイメージングシステムが導入されました。最先端のシステムで、日本のクリニックで導入されているのは当院のみです。そのシステムの名前はDragonfly(ドラゴンフライ)と言います。日本語に訳すとトンボですね。名前は撮影スピードの速さに由来しているそうですが、トンボは昔から勝ち虫として知られています。後ろに退かないからだそうです。このネーミングにもグッときます。
実物がこちらの写真です。顕微鏡の左側に付いている装置がDragonflyです。顕微鏡も黒くカスタムしてもらって、最高にクールです。全体的に黒を基調とした仕上がりになっています。モニターはアームで伸び縮みして、なんだか近未来的な感じです。
さて、一番重要な性能ですが、これも大変素晴らしいです。実際にDragonflyで撮影した動画をご覧頂ければと思います。
これはマウス受精卵が細胞分裂して2細胞になる時に染色体が分配される様子を捉えた動画です。
DNA(染色体)を緑色に、染色体を分配する上で重要な働きをする微小管(紡錘糸)をオレンジ色に標識しているのですが、2つの前核が消失して染色体1本1本に構造変化していく様子や、染色体が綺麗に配列して、紡錘糸によって2方向へ引っ張られる様子を鮮明に観察することができます。
トンボのメガネはかなり凄いです。
ここまでの解析技術を有しているクリニックは他に無いのではないかと思います。
このシステムによって、これから様々な新知見を得られることが期待されます。治療がうまくいかない患者さんの発育停止した胚の原因究明、また臨床への応用に向けた基礎検討など、生殖医療発展の為に活用していきたいと思います。
高度生殖医療研究所 甲斐