ピエゾ始めます|山下湘南夢クリニック|藤沢市の不妊治療/体外受精

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ピエゾ始めます|山下湘南夢クリニック|藤沢市の不妊治療/体外受精

ピエゾ始めます

夏も終わり、秋風を感じるこの頃ですが、皆様はいかがお過ごしでしょうか?

研究室長の中田です。

題名が、冷やし中華始めます、みたいですが、季節物ではなく、今後、臨床に導入される、顕微受精の方法です。

先日の説明会で、培養士からの説明を聞いた方もいらっしゃるかもしれませんが、いらっしゃっていない方のためにご説明しますね。

通常の顕微受精では先端を鋭利に削った細いガラス管で、卵子の細胞膜を破くのに対して、ピエゾでは先端の丸いキャピラリーで微かな電圧の振動を与えながら細胞膜を破きます。細胞膜への傷害以外に、先端の鋭利なキャピラリーでは卵子は早々に破れないため、卵子は圧迫され変形します。

ピエゾが7%程度の変形率であるのに対して、通常の方法だと30%以上になります。つまり、変形率が少ないほど、元の円形を維持していることになります。

卵子の細胞膜への傷害と変形率からも、卵子にとって優しいのはピエゾになります。ただ、通常の顕微受精が全くダメというわけではありません。実績のある技術ですが、通常の顕微受精でなかなか受精しない方、顕微受精後に卵子が変性してしまった方にはお勧めかと思います。

また、当クリニックのこだわりとして、ピエゾ導入にあたり、哺乳類最弱クラスの卵子の強さである、マウスで手技の習熟を重ねてきました。他院でも、ピエゾを導入している施設はいくつかありますが、本質的にピエゾが導入できているかは謎です。

当クリニックでは最弱クラスのマウス卵子で、成績を出せた培養士のみ、哺乳類最強の人の卵子にピエゾを行います。最弱を知らないものが、最強でやっていいかどうかというのが、技術的な本質を押さえているかどうかということです。種差はあるけれど、弱さを知っているから、優しくできることはたくさんあると考えます。

私が長年の経験から学んできたことを細部に至るまで伝え、マウス卵子を最良の教材として、こんな感じの顕微受精はダメだよと教えてくれたので、培養師のみんなには口うるさく思われたか「もしれませんが、患者さまの大切な卵子が少しでも元気に受精してくれたらと願っています。

気になる方は医師に相談してください。

ピエゾ導入以外にも、精子に関する研究などなど、進めていますので、ブログをなかなか書けなかったことをどうかお許しください。

ピエゾは私の恩師の先生たちからいただいたプレゼントです。私が大学生だった頃に開発された技術でした。毎日毎日、朝から次の日の朝まで、ピエゾ漬けの日々でした。いつか活かせる日が来ることを夢見て、いつの間にか、10年以上かかりました。

臨床ですぐにやればいいと言わず、私の考えを認めてくれた山下院長や、こうるさい私に耐えてくれた培養士のみんなには本当に感謝です。それでも、まだまだこれからだと思います。

写真は、実験がうまくいかない時、落ち込んだ時に、夜中の実験室で相手をしてくれる、アインシュタイン博士のポスターです。

You will surely succeed, tomorrow!

顔と内容が合ってないでしょうか?

私は時々、この顔で、全然ダメ、もう一回出直し!と言われている気がする時もあります。