日本臨床エンブリオロジスト学会に参加しました!
- 2018年1月18日
- 培養室
皆様、明けましておめでとうございます!
私は、先週日曜日に開催された日本臨床エンブリオロジスト学会に参加しました。
この学会には初めての参加となりました。昨年検討した新たな精子調整液の結果について演題発表を行いました。
精子の運動性はpH環境に影響を受け、高いpH環境下で運動性が向上することが確認されています。現在市販の精子調整液は主にpH7.2-7.4に調整されているため、高pH精子調整液が精子にどのような影響を与えるのかを調べました。
当院で採用している精子調整液と高pH精子調整液を用いて精子精製を行い、精子運動性測定装置で経時的に調べました。結果、高pH精子調整液を使用した試験群で、運動速度、頭部振動数、頭部振幅などが有意に向上しました。さらに、体外受精の胚培養成績への影響も調べたところ、受精率、分割率には有意差が認められませんでしたが、胚盤胞発生率については良い傾向が確認されました。同一症例で比較したところ、胚盤胞発生率と良好胚盤胞凍結率が改善しました。今後検討を重ねる必要がありますが、このように、既に確立した培養条件に少しても改良の余地があると常に考えながら努力していきたいと思います。
今回の学会では、患者さんが演者として参加し、自分の不妊治療の経験を話されました。治療を受けて初めて胚培養士の存在を知り、その役割と重要性を認識したとのことでした。中には、最後までお子さんができなかった方もいらっしゃいました。子供がほしい気持ちがどれほどだったのか、多くの聴衆が聞いてて涙していました。私たちは生殖補助医療の一員として、患者さまの希望を叶えるように努力しないといけないと強く思いました。
培養室 陳