日本臨床エンブリオロジスト学会ワークショップ2018|山下湘南夢クリニック|藤沢市の不妊治療/体外受精

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日本臨床エンブリオロジスト学会ワークショップ2018|山下湘南夢クリニック|藤沢市の不妊治療/体外受精

日本臨床エンブリオロジスト学会ワークショップ2018

2018年明けましておめでとうございます。前回のブログから間もないですが、高度生殖医療研究所の中田です。

皆様はどんな年末年始だったでしょうか?

 

年始の仕事初めからすぐの6日から日本臨床エンブリオロジスト学会のワークショップで講師を務めさせていただきました。今年も日本全国から新しい技術を覚えるために培養士さんたちが集まりました。

培養室の河野室長と私と、補佐として培養士の中嶋と3人で、1部は16名、2部も16名とかなりたくさんの方にマウスの胚盤胞を材料として技術指導を行いました。その技術とは、胚盤胞から栄養膜細胞(将来、胎盤となる細胞)を摘出する技術です。胚盤胞に与えるダメージを極力少なくし、摘出した細胞を確実に検査に提出する方法を指導させていただきました。日本ではまだ一部の疾患を有する方にのみ適用されている技術ですが、高度生殖医療研究所では、研究の一つとしてこの技術に取り組んでいます。

今回で私が講師となったのは、3回目となりますが、1回目は3年前のことでした。当時は培養士以外に医師も数名参加されていました。その際に参加された医師の方々のうち何名かは、胚盤胞から細胞を摘出する方法を苦労されながらもやりとげましたが、途中でわかりました、とおっしゃり、席を立とうとされた方もいました。

私はその際に「せっかくですので、先生も最後までやりませんか?細胞を摘出することの苦労を先生にも知っていただきたいですし。」とお伝えすると、しぶしぶ最後までやられましたが、その後は私の倒立顕微鏡の近くには近寄ることはありませんでした(もっとやりましょう、と言われたくなかったのかもしれませんが。)

私は、今回、講習を受けられた方にその話もお伝えしました。「第一回に参加されて、自分でも細胞の摘出が大変だとわかっていただけた医師は、培養士が胚盤胞から細胞を摘出する苦労を大体はわかっていただけているでしょう。しかしながら、大多数の医師は、講習を受けてきたのだからできて当然と思うかもしれません。胚盤胞から細胞を摘出しても、その後の胚盤胞の状態は摘出前と比べると悪くなること、ヒトの胚盤胞は特に個人差もあるので、細胞摘出後の胚盤胞が100%大丈夫とは言い切れないことを皆さんがクリニックに戻って、医師にお伝えすることも培養士としては大事なことでもありますよ。そう、講師が言っていたと言ってもお伝えしていただいてもいいです。みなさんの技術がとても高いことは操作をされるのを見ていて、よくわかりました。日ごろ頑張っていらっしゃるんだろうと思います。でも、いくら技術が高くても、細胞の摘出はみなさんにとってもとても精神的な負担にもなりますし、もちろん胚盤胞にとってはとても負担になることは忘れないでくださいね。」とお伝えしました。技術力が上がれば上がるほど、そうでなくても常に正確さを求められる培養士の責任はとても大きいです。そんな頑張っている培養士の方々へ応援になればいいなと思ってお伝えした話でした。講師をやらせていただくことはとても、勉強になります。また、あまりお話しする機会のない他施設の培養士さんとのお話も良い刺激になりました。

学ぶべき多くの培養技術のひとつですが、これからの生殖医療に欠かせない技術です。今回の学会で、ワークショップに集まる人数がとても多かったのを見ていても、皆さん本当に熱心で患者さん思いなのだなと思いました。

今回、私に講師依頼をしてくださった学会の関係者の方々もみなさん培養士です。とても忙しい中に日本の培養士のレベルを上げようとしている講師たちの姿、ワークショップで頑張っている培養士の姿を患者さんの皆さんは見ることはないかもしれませんが、この場でお伝えしたいと思います。

今年も始まりましたが、1年またコツコツと頑張っていきたいと思います。

(指導している私です(^-^)