オバマ大統領と桜
- 2015年3月2日
- 研究室
皆様こんにちは。高度生殖医療研究所の中田です。
今日もある患者さんの卵子にお付き合いして、何とかして受精してほしいので朝までそばにいる予定です。
まだまだ寒い日が続きますが、その中にも少しずつ温かい日もあり、先日は実験先で河津桜が開いているのを見ました。もうすぐ春だなと感じます。
先日、3つ目となる特許を出願しました。この内容は、精子1匹の凍結を可能にするものです。どうして、1匹の凍結技術が大切か?と思われると思いますが、Oligoasthenoteratozoospermiaと呼ばれる、精子の数がかなり少なく、運動性もほとんどなく、奇形精子の目立つ症状の患者さんもいます。
WHOの基準ですと、精液中の精子数が15×106/ml以下を乏精子症と定義していますが、高度乏精子症は0.1×106/ml以下としているという文献もあります。精子数を測定するマクラ-チャンバーという装置(スライドガラスに目盛りのついた精子専用の精子の測定装置)で見ても、動いている精子がいない、精子そのものがごくわずかにしかいないという患者様がその症状に当てはまります。
精子数が少ない場合には、凍結するチューブは1本のみになってしまいます。つまり、採卵1回分に相当する分しか凍結することができません。また、凍結して融解した精子は凍結保存液を除去するために、培養液で洗浄しなければならないため、その過程で、精子の数が減少することがあります。
そこで、精子1匹を凍結融解して、確実にほぼ100%、1匹を確保できる方法を考えました。細かくはお伝えできませんが、1匹がとても大切な患者さんにはこの方法は有効ではないかと考えています。また、何度も精子を採取するという負担を軽減できるかと考えています。
話は変わりますが、最近、鎌倉の長谷寺にお参りに行ってきました。毎年、1度はお参りに行っていますが、今年は少し早めに行きました。長谷寺にはご存じの方もいるかと思いますが、お地蔵様があります。お地蔵様は、子供たちの守り神ですよね。私は宗教に特に思い入れはないのですが、やっぱり何かの思いを感じることがあります。それが何かはわからないし、研究をしているものとしては、非科学的なのですが。人の思いは見えないけれど、見えないからこそ、よく見ないといけないなと思います。現実の生活では、見ない方がいいことや、聞こえない方がいいこともたくさんあるんですけれどね。
卵子や精子を見ていると、何かを訴えているのかもしれないから、よく見ないといけないなと思いますし、それが何かをわかるために、少しでも手伝うことができるように実験したり論文を読まないといけないなと思います。知識だけあっても、実践できなければ意味がないですし、実践しても知識がなければやっぱりおかしいですよね。
長谷寺の帰り道、のどが渇いたので、長谷寺近くの喫茶店によると、面白いものを見つけました。オバマ大統領が子供の頃にきたお店だそうです。35周年目のお店だそうです。どんな子供だったんでしょうか。この日は、湘南の海も夕陽がキラキラと光り、とても綺麗でした。いつか湘南の海を見ながらビールを飲みたいものです。