梅雨のあとさき
- 2015年7月16日
- 看護室
すっかり梅雨らしい季節となりましたが、みなさんはどのようにお過ごしでしょうか。
低気圧のせいか、私は朝から頭痛に悩まされています。それと同時に、さらさらと鼓膜をくすぐる雨音に癒されている日々です。
梅雨といえば紫陽花を連想する方も多くいると思います。
西洋アジサイを「ハイドランジア」と呼ぶのですが、これは“水の器”という意味です。
水と深い関わりがある花だからこその名前なのでしょうか。紫陽花を見るたびにこの名前を思い出し、立ち止まる私がいます。
さて、人間というものは悩みが尽きない生き物ですが、現在私の心は梅雨空のように淀んでいます。
そんなときはゲーテの言葉を思い出し自分を奮い立たせています。
『奇妙な身振りをして、人は浮き身をやつす。何かになろうという人はなく、みんなもう何かになったつもりでいる』
現状に満足しそうになったときや、見切りをつけ挑戦をやめようとしたときには必ずこの言葉が頭をよぎります。
人生は長い。こんなにも長い間、どうやって生きて時間を消費しなければならないのか。
漠然としすぎている将来への不安と劣等感から救い上げてくれたのは担任の先生の言葉でした。
「好きなことをやればいい。誰にも負けない、これだけは好きだと思えるものを一生かけてやっていくことだ」と。
その教えのとおり、私は一生ものの“好き”を見つけ、現在も悩みながらも続けています。
幼かった私には人生は途方もなく、永遠に終わることのないような得体のしれないものでしかありませんでした。
しかし今は、時間が惜しい毎日に変わっています。
そしてもうひとつ、私を勇気づける言葉があります。
宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』の出てくる一文で、「真の幸福に至れるのであれば、それまでの悲しみはエピソードに過ぎない」というものです。
「真の幸福」とは、人それぞれの心の中にあるものです。
誰が決められるものではありません。目に見えるものかもしれませんし、見えないかもしれません。
この言葉を思い出すとき、私はいつも心が軽くなり、また頑張ろうと立ち上がることができます。
医療の現場に携わるようになり、今年で5年の節目です。教育でも医療でも、良い先生に恵まれたと心から思います。
その出会いを無駄にしないよう、そしてそれぞれの先生方に成長した姿と良いご報告ができるように、毎日を丁寧に過ごしていきたいと思います。
最後にもうひとつ頑張らないといけないことは、ベッド脇の積み本を早く片付けることです。
形から入る私は「読書記録しおり」を購入して日々読書に励んでいます。意外と楽しいです。
看護助手 今野