第2話 “自分を信じること”|山下湘南夢クリニック|藤沢市の不妊治療/体外受精

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第2話 “自分を信じること”|山下湘南夢クリニック|藤沢市の不妊治療/体外受精

第2話 “自分を信じること”

 現代はインターネットの時代です。人は何かを思い立つとインターネットを開き、キーワードを入力し、その関連するサイトから情報を入手します。そして、その情報に基づいて行動を決定します。例えば、どのレストランで何を食べるか?新しいオーディオはどの機種を購入するか?どの病院を受診するか?などなど、関連するサイトに載っている口コミや人気ランキング等の情報が判断の重要な決め手となります。その気になれば世界中から多種多様な情報を集めることができるわけですから、何の情報もなく行き当たりばったりに行動するよりは、はるかに効率よく、質の高い判断を下すことが可能です。情報が最優先される現在社会では、インターネット依存の生活は必然的な潮流だと思われます。しかし、このような生活にどっぷりと浸かってしまうと、情報の良悪や真偽を自分なりにしっかりと吟味することなく鵜呑みにしてしまいがちになります。ネット上に星の数ほどある様々なブログは、元来ブログを開設された方の日記ですからその内容は極めて主観的かつ個人的で信頼できる情報ソースとしては心もとないものですが、多くの方が参考にする食べログのような大きなサイトでさえ、ランキングの捏造問題が報道されたように、その情報を鵜呑みにはできないようです。 私自身もこの二、三ヶ月の短い間にマスコミの情報に不信を抱いてしまうような経験を立続けにしました。某週刊誌から“不妊治療の良い病院特集”に記事を出さないかと連絡が入りました。有名な週刊誌の良い病院特集にクリニックの名前が掲載されることはとても光栄なことだと前向きに考えていたところ、一ページ百万円以上の掲載料がかかると知らされました。結局、これは患者さんに役立つ“良い病院特集”というよりは“お金持ちの病院の広告特集”にすぎないと感じ、掲載をお断りしました。しばらくして、今度は今を時めく某出版社から、不妊治療の本を出版しないかと持ちかけられました。長年の治療経験の中から患者さんにお伝えしたいメッセージもたくさんありますので本という形にできればと考えました。そこで、多忙な日常診療の合間に執筆することになるから少なくとも数か月はかかりますとお答えすると、先生は時間を見つけて何度かインタビューに答えてくれるだけでいい。あとはゴーストライターに仕上げてもらうことになります。そして全て込みで1000万円ちょっとかかります。との答が返ってきました。世の中の出版物の内情を露骨に見せられた気がしてこの話もお断りすることにしました。さらに、数か月前に某全国紙から不妊治療に関する調査をしたいからと突然アンケートが届きました。アンケートに答えたことも忘れていた最近、そのアンケート調査の数字をそのまま材料にして“不妊治療施設の実力ランキング”と銘打って治療件数の多い施設のベストテン記事が掲載されていました。アンケートに回答された数字の真偽を一度も調査、検証することなく、そのまま記事が作成され掲載されたことに、大きな影響力を持つ新聞社だけに尚更のこと、驚きを通り越して深い絶望を感じてしまいました。このような経験が続くと、世の中の多くの情報は玉石混淆どころかほとんどが石ころだらけに思えてきます。氾濫する情報に惑わされることなく、多くの情報の中から自分に合ったものを見抜く目がどうしても必要になってくると思われます。日常の診療の中でも、多くの情報を消化しきれず、良いと聞けばいろいろなものに手をだし、情報を使うのではなく情報に振り回されて疲れ切っているようにお見受けする患者さんにお会いします。ご自分の目的地に向かってしっかりと針路をとるのではなく、氾濫する情報の大海の中で当てどもなく漂流されているような印象を受けます。このような状態に陥らないためには、日頃から良いもの(自分に合ったもの)を自分で見抜く感性を磨くこと、そして、一旦判断したら後は自分を信じて、大船に乗った気分で自分が決めた相手にすべてを委ねるような心持ちが、事がうまく運ぶためには大切なように思われます。自分を信じきること。自分の決めたことに疑念を持たないこと。そんな心の中の余裕が貴女の願いを叶える大きな力になってくれるように思います。                      

 2012年6月10日 院長 山下直樹