第3話 “ 女はいつでもGirl ”|山下湘南夢クリニック|藤沢市の不妊治療/体外受精

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第3話 “ 女はいつでもGirl ”|山下湘南夢クリニック|藤沢市の不妊治療/体外受精

第3話 “ 女はいつでもGirl ”

先日、テレビの化粧品のコマーシャルで“女はいつでもGirl”というキャッチコピーが流れていました。うまいこと言うなあと感心し、ついつい画面に引き寄せられてしまいました。Girl : いつも周囲からかわいいと注目され、素敵な人から愛されていたい。そんな夢見る乙女心の代名詞としてGirlという言葉が使われているようです。最近は、姉妹かと見間違うようなファッションで着飾った母娘さんや十代のファッションを楽しんでいるアラフォーの女性を街でよく見かけます。お母さんはもう娘さんの世代になりきっていて交わされる会話は友達同士のものです。颯爽と街を闊歩するお姉さん達の後姿には他人から注目されているという自意識が溢れています。おかげで街は華やぎ人生はいつまでも楽しそうに思えてきます。加えて、美白、アンチエージング、サプリメントなどなど世に氾濫する商品の謳い文句どおりになれば現代は誰も年をとらない不老不死の時代を迎えたような錯覚に陥ります。

少し前にNHKの人気番組クローズアップ現代が不妊治療をテーマとして番組を放映しました。番組の中で“ 卵子は年齢とともに老化する ”と流したところとても大きな反響があり、卵子が老化するなんて知らなかった。卵子が老化することを学校教育できちんと教えるべきだ。などの意見が殺到したそうです。そして、NHKではあまりの反響の大きさに続編を制作しようと考えているらしく、このような視聴者の疑問に対して貴院はどのように考えているかという内容のアンケートが郵送されてきました。-卵子が年をとるなんて知らなかった-、-閉経するまでは赤ちゃんができるものと思っていた-このような無邪気な質問が起こってくるのは一体なぜでしょうか?年をとれば若い時には簡単にできた多くのことができなくなることは誰もが理解している自然の摂理です。私にはその一因が、不老不死や永遠の若さを手に入れることが可能になったように錯覚させる現代社会のコマーシャリゼーションにあるような気がしてなりません。そして、純真な方ほどそのような謳い文句を信じ込んでしまうのかもしれません。しかし、残念ながらヒトは万能の神ではなく生物の一種に過ぎません。生物の定義のひとつに“ 生まれ、子孫を作り、そして死ぬ ”というのがあります。生物はもちろんのことそれを形作る一個一個の細胞も必ず老化し、死に至ることは遺伝子に組み込まれている動かしがたい事実です。冷静にそう考えてみると、気持ちは“ いつでもGirl ”はとても素敵な心持のように感じますが、いつまでもGirlのままではいられないことを心の片隅に留めておく分別がとても大切なことのように思われてきます。一度きりしかない人生をエンジョイしながらも、各年代でするべきことはしっかりとやっておくといった分別をもつことが後悔のない豊かな人生を送るための秘訣のように思われます。夢見るGirlよりは分別のあるLady。そういう意味では“ 女はいつでもGirl”より “ 女性はいつでもLady “の方が気の利いたキャッチコピーのように思えてきます。                                  

2012年7月30日 院長 山下直樹