第33話 医療の中のおもてなし|山下湘南夢クリニック|藤沢市の不妊治療/体外受精

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第33話 医療の中のおもてなし|山下湘南夢クリニック|藤沢市の不妊治療/体外受精

第33話 医療の中のおもてなし

先日、当院で治療し、無事出産された患者さんから出産報告書に添えてお手紙をいただきました。

そのお手紙には、
いくつかの施設を巡って治療を受けてきたけれどもうまくいかず、これで最後にしようと当院を受診されたこと。
幸いなことに、時を待たずして治療が奏功し妊娠がスタートしたけれど、お腹に宿った赤ちゃんが流産せずに無事に育ってきてくれるかどうか、毎週の診察が待ち遠しい日であり、うまくいかないことを考えてしまうと怖くて苦痛にさえ思える日でもあったこと。
そのような揺れ動く心境の中で、赤ちゃんの心臓の拍動がモニター画面に映し出された時ご自分の目を疑い、溢れてくる涙を抑えることができなかったこと。

そして、生殖医療特有の先の見えない治療の中で、治療を継続するのか止めてしまうのか精神的にも肉体的にも経済的にも葛藤の月日だったこと。

けれども、その苦難の道が長かったからこそ、我が子の重みと温かさを手に感じながら穏やかに眠る顔を見つめる時に湧き上がってくる喜びは何ものにも代えがたいこと。

などが整った直筆で書かれていました。

そして、お手紙は、もう一人欲しいと思う気持ちはとても強いけれど、経済的にも年齢的にもこれ以上は厳しく、凍結保存してある卵を移植することは難しい。自分がこのような幸せを味わえるのは医学の発達の積み重ねがあったからだと思う。だから、凍結した卵は廃棄せずに医学の発展のために研究に役立ててほしい。
という一文で締めくくられていました。

YSYCには生殖医療の発展に熱い情熱を持った培養師、研究員が揃っています。貴方の尊いお気持ちを無駄にしないよう有難く使わせていただきます。そして、ひとりでも多くの方が貴方と同じようにその手に赤ちゃんを抱く日が来るように役立たせていただくことをお約束します。

最近は、仕事を持ちながら治療をされている方が多く、
“仕事が忙しいから週末にしか診察に来れない。”
“仕事が終わってからの通院になるからもっと遅くまで受付時間を延ばせないのか?”
“1回で妊娠したいから最初から一番良い方法で治療してほしい”
或いは、土曜日の混雑した外来中や診療終了時間間際に来院されて
“治療について何も知らないから料金、診察回数も含めて詳しい説明をまとめて聞きたい”
など患者さんの要望は多岐にわたります。
そして、クリニックの対応がご自分の思いと異なった場合、患者さんの都合にあったおもてなしのできない施設として口コミでたたかれる時代です。

YSYCでは治療の正確さを損なわない範囲で患者さんの要望に対応するようスタッフに指導していますが、それ以上に生殖医療は料理や教育と似ていて、丁度よい時期に、丁度よい手を、正確に加えることが成功への近道であり王道であると考えています。

患者さんの都合に寄り添うおもてなしはもちろん大切ですが、それよりも、患者さんの心に寄り添い、患者さんの夢を叶えることが医療の中の最良のおもてなしであると考え、大切にしていきたいと思っています。

お手紙を拝見し、その思いを新たに明日からも頑張っていきたいと思いました。
ありがとうございます。

2021年10月25日   院長 山下直樹