第38回日本受精着床学会発表報告
- 2020年11月4日
- 培養室
肌寒さを感じる日が多くなってきましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
新型コロナの影響により、今年に入ってからは各学会が軒並みオンライン開催となっています。先月、第38回受精着床学会がオンデマンド配信により開催され、当院からは『Conventional-IVFによる受精の有無の短時間確認とRescue-ICSIを併用する有用性の検討』の内容を発表いたしました。
当培養室ではICSIはもちろん、特にRescue-ICSIを得意技術としております。Rescue-ICSIとは、Conventional-IVF(ふりかけ法)で受精しなかった卵子を受精させる技術です。体外受精治療を初めて受けられる患者さまは、ふりかけ法で受精しない(受精障害)可能性を心配されている方も多いと思います。当院ではふりかけ法に積極的にチャレンジしていただける環境を整えており、安定して良好な成績を維持できております。学会開催中、当院の発表した内容・成績について、複数の施設から評価をいただきました。少しでも多くの患者様の力になることを願っています。
今年に入り、休日は自宅で過ごすことが多くなりました。私は2年ほど前から熱帯魚の飼育を始めましたが、最近、少し手の込んだ水槽を作成しようと試みました。生体を飼育している水槽では、後付けで水草を繁茂させることが難しいとされています。魚が泳ぐことで水流が発生したり土を巻き上げて餌を探したりするため、根付く前に水草が浮いてしまうからです。そこで水草を豊富に繁茂させる方法の一つである、『ミスト法』に挑戦してみました。湿らせた土に水草を植え、水槽をサランラップで包み、霧吹きで湿度を高く保ち温室のような環境を作り、水草を根付かせる方法です。2ヶ月ほど時間をかけましたが、先日やっと生体の飼育を開始できました。水草が生茂る水槽の中を小魚が泳ぐ姿は、いつまでも見ていて飽きません。機会があれば挑戦してみてはいかがでしょうか。
培養部 河野 博臣
①9月初旬に水草を購入。水草の層に厚みを持たせるため、『グロッソスティグマ』という種類の水草を選択しました。
②培養した水草なので、寒天に生えています。カビが生えないよう寒天をきれいに取り除き、小さな束をたくさん作ります。
③田んぼに稲を植えるイメージで、水草の束を土に植えます。
④株分けをしつつ霧吹きで水をやりつつ、30日後の状態です。水草の背が高くなり、横にも広がり始めました。
⑤さらに霧吹きで水やりを続けて40日後です。水草が急激に横に広がり始めました。
⑥開始から50日後。フサフサです。
⑦土の中でしっかり根を張りました。
⑧開始から60日。注水し、生体を入れてみました。2年間飼い続けているカージナルテトラですが、これまでより生き生きと泳いでいる・・・気がします。木化石と水草のコントラストも綺麗に仕上がりました。