第38話 Magic!! or Yabu↓↓|山下湘南夢クリニック|藤沢市の不妊治療/体外受精

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第38話 Magic!! or Yabu↓↓|山下湘南夢クリニック|藤沢市の不妊治療/体外受精

第38話 Magic!! or Yabu↓↓

先日、午前の診療を始めるために院長室の洗面台に向かってコンタクトレンズを入れていました。

“さあ、今日もがんばろう。”
と気合を入れて振向きざま、左目の視界が突然ぼやけてしまいました。

“あれっ、しまった!コンタクトが外れたかな?”
左目を何度瞬きしても視界はぼやけたままでした。
洗面台を舐めるように調べても、這いつくばって床を探してもレンズはどこにも見あたりませんでした。

使い捨てレンズなので紛失してもそれほど痛手ではないのですが、探してもその在りかがわからないとなると、
まだレンズが目に残っているのではないかという疑念が湧いてきます。
鏡の前に立って瞼を押し広げて上下左右に目を動かしても自分で見える範囲には限界があり、コンタクトレンズは行方知れずのままでした。

“急いでいる時にかなわないなあ“と思いつつ、診療開始時間が押し迫ってきたので探すのを諦めて外来に降りることにしました。

どことなく違和感がある左目を気にしながら午前の診療を無事に終えることができました。

目の中にレンズが残ったままにしておくと早晩感染が起こるな。ここはやはりプロに診てもらうのが一番だ。と考え、コンタクトレンズ店に併設している眼科に連絡を入れました。幸い、午後の診療が始まる前に予約が取れたので早速診察に向かいました。

待合室は私だけですぐに名前が呼ばれました。
いかにも週に一度ほどアルバイトに来ているという感じの白衣を私服の上に羽織った三十代と思しきお兄さん医師がその日の担当でした。

事情を説明すると

“はい、それじゃあ診てみますねえ。
上向いて、ハイきれい。
下向いて、ハイきれい。
右向いて、ハイきれい。
今度は左向いて、ハイきれい。
滑りを良くする色のついた目薬さしまーす。
目をぱちぱちしてくださーい。
ハイ、やっぱりきれい。
コンタクトは残っていませんよ。ご心配なくー。“

診察はリズミカルに終了しました。

“来て良かった。目の中に残っていないことが分かっただけでもずいぶん安心だ。”
と思いつつ会計に向かうと受付さんが
“レンズは残っていないようなので左目にレンズを入れていきますか?同じものをすぐにご用意できますよ”と勧めてくれました。

午後診療も差し迫っていたので用意されたレンズを左目に入れ、軽い足取りでコンタクトレンズ店を後にしました。

しかし、クリニックへの帰り道、突然に目に違和感を感じて指を近づけると睫毛にコンタクトが引っかかっていました。

“ええっ、また外れた?今日は調子悪いなあ。”と思って指先ではずれたコンタクトをつまんだまま帰り道を急ぎました。
すると、右目を閉じても電信柱の広告がはっきり読めることにすぐに気づきました。

“あれー、何、これ?”
外れたレンズは指先にあるよ。けれど左目はしっかり見えるよ。なにこれあるよ??
一枚のレンズが突然二枚になったのかな?Mr.マリックのMagicみたいに!
いやいや、そんなわけないな。
ということは“あのお兄さん先生、目に残っていたレンズに気づかず、その上からもう一枚レンズをつけてしまったのかな?
そうだね。そっちの方が考えやすいな。
などなどいろいろ考えながらも
まあ、文句言っても始まらないし、レンズの在りかの辻褄が合ったわけだから、結果オーライということでまあいいかと自分を納得させてクリニックに戻りました。

話は変わりますが、YSYCの新規スタッフの採用基準は二つあります。
第一は自分の仕事に情熱と責任を持てる人であること。
第二は意地悪な人でないこと。
です。

あのアルバイトお兄さん医師は眼科だけど仮にYSYCを受けたとしても不採用だな。二番目の条件はクリアできても、一番目の条件で引っかかりそうだから。

午後の外来の合間にそんな大きなお世話なことを考えていました。

でもね、どんな仕事するにしても情熱と責任は大切だよ!

2022年10月25日 院長 山下直樹