第57回日本卵子学会報告
- 2018年6月3日
- 培養室
梅雨を間近に控え、爽やかな天気としばらくお別れをしなくてはならない時期となりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。培養室の河野です。
5月26日、27日に埼玉で第57回日本卵子学会が開催されました。昨年は時間が確保できず、学会にほとんど参加できなかったため、倍増した知識欲を抱えて参加してきました。
今回は培養室から2演題、研究室から2演題が採択されました。培養室からはC-IVF後のレスキューICSI成功率を高めるための工夫、シールに由来する揮発成分の毒性と成分の特定について発表してきました。レスキューICSIについては、実際に発表した培養室員がブログにて別途報告してくれると思います。
当院では2016年度からこれまでに、ラベルシールの安全性について検討を重ね、海外を含め多くの学会で報告を行ってきました。発表を重ねるにつれ、聴講に足を運んでくださる方が増え、今回は立ち見では部屋に収まり切れず、廊下にも人が溢れている状況で発表させていただきました(会場が小さかったのも一因としてはある気もしますが、それはまた別のお話)。
揮発性物質は目には見えず、その発生源も様々です。消毒に使用するエタノールや、マジックのインキ等、皆様が知っているものも含まれます。しかし、ラベルシールに使われる粘着剤等、とても気付かれにくいところにも存在しています。不妊治療に携わる者として今、私に求められている役割は、ラベルシールに携わる専門業者をこの問題に巻き込こむことです。両者が知恵を出し合い取り組むことで、患者様の胚にとって優しい環境を構築することに大きく前進します。見えないものとの戦いになりますが、私たちだけでなく、各施設の培養業務に携わる方々が、ラベルシールについて同じ目線で考えてくれるようになることを願います。今年は後2回学会発表が控えていますので、しっかりと私の役割を果たしていきたいと思います。
最近では、業者さんとお話しする機会が多くなってきました。製品についていろいろと考えていることはもちろんなのですが、その温度差は大きく、ベクトルが患者様に向いているのか疑問に思うことも多くあります。しっかりと話をし、「信用できる」業者さんとラベルシールの問題について共闘していきたいと思います。