第64回日本生殖医学会参加報告
- 2019年12月7日
- 培養室
朝の冷え込みが厳しくなってきましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。培養室の河野です。
先月も顕微授精の受精率が90%を超え、培養成績も非常に良好な状態を維持できております。当院では、患者様同士が不妊治療における様々な悩みを共有する「おしゃべり会」というイベントを、NPO法人Fineと当院研究室長が中心となり不定期に開催しております。私が最初に携わったおしゃべり会は2015年になります。おしゃべり会の前半では、患者様同士にお話をしていただき、交流していただきます。その後は培養士、看護師が質疑応答の対応をする流れです。2015年のおしゃべり会に参加して以来、当院に通い続けてくださったある患者様が、先日めでたくご卒業されました。年齢的に非常に厳しい条件で、採卵・培養とも難渋しておりました。患者様ご夫婦の卵子、精子の状態についてお話する時間を持ちながら、治療の結果をひとつひとつ理解し受け止めていただき、根気強く通い続けてくださった頑張りが実った素晴らしい出来事でした。
先日神戸国際会議場にて開催された、第64回日本生殖医学会に参加してきました。大会長の岡田先生は男性不妊の治療において日本を代表する先生であり、男性不妊・精子関連の演題が多く発表されていました。今回の培養室からの発表ですが、これまでに他の医療機関で使用が認められた培養dish管理素材の、安全性検証試験の結果を報告してきました。今回の検証に全面的にご協力いただいた、鹿児島県の松田ウイメンズクリニックとの共同発表という形で発表を行いました。発表終了後に他施設の培養士の方々からいくつも質問をいただき、私が理解している範囲のアドバイスを提供させていただきました。培養環境の改善に当院が開発した「Gas-nil」が有効であることは間違いないのですが、ラベルではカバーできない場面もあり、まだまだ安全な素材の開拓が必要です。他業種の方々とのコネクションを広げていかなければならないと考えております。