顕微授精。
- 2012年6月12日
- 培養室
こんにちは。培養部から池上です。
今回2回目の更新になります。
何を書こうか悩んでいたところ、隣にいた中田さんのアドバイスにより、これまでに印象に残った患者様の話を書いてみようと思います。
私が妊娠のお手伝いをすることができ、心に残る患者様はたくさんいらっしゃいますが、今回はそのうちの特に印象に残っている患者様の話を紹介させていただきます。
Aさんは重度の男性不妊で、他院で治療歴があり、そこでは新鮮胚移植を行いましたが妊娠に至らず、当院にて3回採卵、顕微授精、移植をせず胚盤胞凍結を試みましたが一度も凍結できずにいました。
4回目の採卵時、お持込された射出精液中に精子が見つからず、急遽事前に凍結していた精子を融かして顕微授精することになりました。融解した保存精液中にも、良好な運動精子をなかなか発見できず、ようやく精子が見つかったときの感動は今でも覚えています。
このときは受精したたまご1つを新鮮分割胚でお腹に戻し、そのたまごでなんと妊娠され、無事に出産されました。2年ほど前に治療を終えた患者様ですが、いまでも印象に残っています。
顕微授精は、そのときの精液中から良好な精子を選ぶという点で、とても緊張しますし、男性不妊で精子が少ない場合はより一層緊張します。さらに受精してから赤ちゃんになるまでもとても気になっていますので、元気な赤ちゃんが生まれたという報告が病院に届くと、とても嬉しく、また頑張ろうという気持ちになります。
たくさんの赤ちゃんに出逢えるように、今後も技術を高めるよう努めていきます。
池上