糖化と不妊症
- 2014年10月14日
- 院長・医局
今回のテーマは糖化についてです。みなさんは糖化という言葉はご存じですか。
糖化とは、身体の中でタンパク質と余分な糖が結びついてタンパク質が変性、劣化してAGEs(糖化最終生成物)という名の老化物質を生成する反応いいます。このAGEsが実は身体の老化を引き起こす人類最大の敵とも言われているのです。というのは、このAGEsはからだの至る所に蓄積して正常なタンパク質の働きを阻害し、様々な病気を引き起こす元凶であるからです。具体的には、糖尿病、骨そしょう症、動脈硬化症、白内障症、アルツハイマー病,がんなどの疾患のほか、皮膚のしわ、たるみなど多彩です。 AGEsは体内で生成されるルート以外に、食品に含まれているAGEsが身体に取り込まれるルートもあります。つまりAGEsを多く含む食品を長期間大量に摂取するとAGEsが体内に多量に蓄積し、組織・臓器の老化を引き起こすのです。
ここで糖化についてお話する理由は、この糖化が不妊症と関連している可能性があるからです。体外受精を受けられている方のなかに、採卵してもなかなか質の良い卵子が得られない方がいます。また採卵しても空胞(卵子がないもの)であったり、変性卵だったりすることもあります。また一見良好な卵子でも受精しなかったり、受精しても細胞分裂がとまったり胚盤胞まで到達しなかったりと結果が思わしくない場合もあります。
一般的に卵子の質は加齢により染色体異常が生じやすくなったり、ミトコンドリアの働きが悪くなったりすることが原因と考えられていますが、糖化、すなわち日々の偏った食生活により多量のAGEsを摂取ないしは体内で生成し、それが卵子の質を低下させている可能性があるのです。実際に糖尿病の薬を内服し、食後高血糖をおさえることによってAGEsの生成を抑え、良質な卵子を得ることができ、妊娠率が改善したとの報告もあります。また糖化を抑制するサプリメントもあり、その効果が期待されています(当院で処方予定)。
身体の糖化度は、血液中の糖化マーカーの量を測定すればわかります。また皮膚・皮下の血管壁に蓄積されるAGEsを機器(AGEs Reader)で測定する方法は、短時間で簡単に結果が得られます。
YSYCでは10/31にAGEs Reader を用いたAGEs測定を行う予定です。関心のある方はぜひ測定してみてください。所要時間は3分程度で、専門の技師が測定します。
費用は1000円です。診療の待合時間を利用して調べてみてはいかがですか?
詳しくはスタッフにお聞きください。
副院長 吉田