Breakthroughに向けて|山下湘南夢クリニック|藤沢市の不妊治療/体外受精

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Breakthroughに向けて|山下湘南夢クリニック|藤沢市の不妊治療/体外受精

Breakthroughに向けて

各地で大雨による災害が続いておりますが、皆様変わりなくお過ごしでしょうか。培養部の河野です。

 

8月1日、2日に新宿で開催された受精着床学会に参加してきました。業務の都合上2日目のみの参加となりました。培養室は施設毎に採用している手法も異なるため、自分が持ち合わせていない発想の発表を目にすることは多々あります。良く練られた検討を目にし、まだまだ頑張らなければと改めて気を引き締めました。

学会では企業ブースが多く並んでいます。立場上、平素よりお世話になっている業者さんに挨拶回りをすることが必須となっています。今回も多くの業者さんに挨拶し、患者様のために役立ちそうな情報を山ほど仕入れてきました。

患者様のために役に立つであろう製品や技術は生殖医療以外の分野にも沢山ありますが、培養室で使用できるものは、各メーカーが定められた認証を取得し、品質管理を徹底して販売している製品の組み合わせです。現場の状況に精通しているメーカーやほとんど知らないであろうメーカーの製品が混在している状況なので、製品の導入には必要に応じて試験を行うなど細心の注意を払わなければなりません。また、私たちができることは既存の製品の組み合わせになることから、実現できることはある一定の限界があると考えられます。

 

話は変わりますが、ヒト精子、卵子、受精卵を対象とした研究を行う場合、研究用に提供されたとしても、患者様の安全性や倫理面に問題がないか、専門機関による審査を経て日本産婦人科学会に研究登録することが必要です。それらを担っているのが倫理委員会という組織です。私たちの研究内容を審査できる倫理委員会は、主に医学部を有する大学に設置されています。当院は自施設で倫理委員会を設置している数少ないクリニックの一つです。しかしながら近年、臨床研究において順守すべき国の指針が細かく煩雑になり、研究毎に専門知識を有する審査委員が必要となってくることから、審査自体が難しい事例も増えてきました。これは国内すべての施設に言えることであると思いますが、研究内容によっては審査できる委員会自体がほとんど存在しないような状況になっています(あくまで現状を鑑みた個人的な考えです)。

このため、当院で今後進めるいくつかのプロジェクトの審査を、専門性の高い委員会で審査してもらう必要が生じました。医師会も含めて複数の機関に問い合わせましたが、「前例がない」と審査の受け入れ自体を断られ続けました。ここで相当の時間を費やしたのですが、努力はしてみるもので、ようやく都内の大きな委員会組織を有する施設が相談に乗ってくださいました。結果、当院のプロジェクトについて審査を引き受けていただけることとなりました。ペンディングは避けられそうで、胸を撫で下ろしました。産婦人科学会への研究登録を目指した審査依頼は、生殖医療分野では当院が初めての事例であるとのことでした。最初の成功例になるべく、まずはしっかりと審査していただき、今後も当院の良きパートナーとなっていただけるよう誠実に対応していこうと思います。

 

ヒト分野の研究は、特に倫理面で非常にハードルが高いです。それは当然であるのですが、先日聴講した講師の先生の言葉を借りれば、ハードル自体を高くしているのは制度の厳しさというより、煩雑さです。規制の体系を整えていただき、国内の多分野にわたる研究者が動きやすい状況にならなければ、ART大国の日本から世界に向けた「Breakthrough」は難しいのではないかと思います。