Embryoscope Flexのご紹介|山下湘南夢クリニック|藤沢市の不妊治療/体外受精

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Embryoscope Flexのご紹介|山下湘南夢クリニック|藤沢市の不妊治療/体外受精

Embryoscope Flexのご紹介

じめじめした日々が続いておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

今回は2020年7月1日より臨床導入致します、『Embryoscope Flex』のご紹介をさせていただきます。

 

Time lapse(低速度撮影)という技術はご存知かと思います。星空や日の出など、変化する速度の遅い現象を定点カメラで撮影し、写真をつなぎ合わせることで動画を作り上げる技術のことで、スマートフォンなどにも応用されています。この技術を培養器に応用した製品が、Time lapse incubator(低速度撮影培養器)です。培養中の胚を培養器に内蔵されたカメラで撮影し、コマ送り動画として観察することができます。この技術により、これまでの定時観察では得られなかった胚の情報を得ることができるようになりました。

 

例えば、胚の分割様式の異常として、direct cleavageという現象が現在注目されています。胚が細胞分裂を行う際、もともと胚が保有していた染色体セットと全く同じものが細胞内で複製されます。染色体を均等に分配することで細胞は増えていきますので、1つの細胞が分裂する場合、細胞分裂後は必ず2つの細胞になります。しかしながら、1つの細胞が同時に3つ、4つと分裂することがあります。この現象がdirect cleavageと呼ばれます。細胞が分裂する直前には、細胞分裂のルール上、染色体が2セットしか存在しません。従って、1つの細胞から3つ、4つと一度に細胞分裂が起こった場合、染色体の分配にエラーが生じている可能性が出てきます。このことから、Direct cleavageが確認された胚は分割期で移植するのではなく、胚盤胞までの成長を見てから移植をすること、また移植する胚盤胞が複数ある時の胚選択の判断に有用とされています。つまりdirect cleavageにより、成長が停止する程の異常が起こったのか、着床能を有している胚なのかを確認することで、移植当たりの妊娠率を向上させることができます。ほかにも胚の成長過程における様々な知見が各学会で報告されてきています。

『Embryoscope Flex』は特に自然周期や低刺激周期で少数の卵子を採卵している施設専用に開発された製品であり、少数の受精卵の変化をきめ細やかに、しかも廉価に観察することができます。治療に難渋されている方の問題解決の一助として臨床導入致しました。

ご興味を持たれた方は7月1日より院内に掲示します資料をご参照ください。また、取り扱える件数に限りがございますので、ご希望の方は、採卵後の診察時までに医師にお伝えください。

培養部 河野

 

Embryoscopeの紹介動画(Vitrolife社提供)

 

正常胚のタイムラプス動画(Vitrolife社提供)

 

direct cleavage胚のタイムラプス動画(Vitrolife社提供)