「隣の家族は青く見える」|山下湘南夢クリニック|藤沢市の不妊治療/体外受精

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「隣の家族は青く見える」|山下湘南夢クリニック|藤沢市の不妊治療/体外受精

「隣の家族は青く見える」

寒い日々の中でも蕾を見つける頃になりましたが、皆様はいかがお過ごしでしょうか?

高度生殖医療研究所の室長の中田です。

昨年はドラマの「コウノドリ」を観て、今年は「隣の家族は青く見える」を毎週録画して見ています。

クリニックの最初の方のブログに書きましたが、私は高校3年生の時、深夜番組で「減胎手術」を観て不妊治療の技術を知り、どうして命が選別されなければならないのか?6人も7人も妊娠しないようにできないのか?と思い、現実のことに衝撃を受けて、この業界に行きたいと強く思うようになりました。ただ、思ったからと言っても、その道に進めるほど世の中は甘くはなく、受験に失敗し、浪人生活を送ることになりました。

浪人生活中、駅前のアイスクリーム屋でバイトをしましたが、バイト仲間はみんな大学生。駅前の通りは毎日楽しそうに歩く大学生たちがたくさんいて、自分はここで何をしているんだろう?と思ったものでした。大学を選ばなければ、なりたいものがなければ、大学生になって、自分も目の前の大学生たちと同じように毎日を楽しく過ごしているのかもしれない、と何度か思いました。「隣の大学生は青く見える」でした。

けれど、いつか自分の行きたい大学に行き、いつか不妊治療の現場で働くんだ、と思って、それまでに必要なことは何だろう?と想像しながら、予備校とバイトに明け暮れました。

 

行きたかった大学になんとか入り、自分が将来なりたい培養士に近い研究室に入りましたが、思ったように実験の結果が出せない、学会発表ができない、でも同期の友人たちは発表したり、成果を出しているのに、という苦しい現実がありました。「隣の同期は青く見える」でした。

けれど、同期が発表したり、うまく行くことを喜べない自分の方が嫌になりました。 頑張ってきた友人の幸せを喜べないことほど、自分がちっぽけで屑みたいだなと思ったからです。 ずいぶん年上の先輩からは、「あいつはうまくやったよな、中田は悔しくないのか?中田の方が技術はあるのにな、一緒に実験する人がすごかったら、あんな風に大舞台で発表できただろう?」と言われたりもしました。私はこの一言を聞いて、私が恨み言を言ったり、悪口をいうことをこの人は望んでいるだろうし、この先輩からしたら私はそういう人間なんだろうな、と嫌になりました。自分はまだまだだからとひたすら実験することを繰り返し、発表の機会が来ることになりました。

 

年齢を重ねてくると人と比べるよりも、自分のことで必死になっていることばかりで、「隣の○○が青く見える」ことはなくなって来ました。何より、他人がどうこうよりも続けていて良かったなと思うことが増えてきました。それでもやっぱり、無責任なことをいう人からの「○○さんみたいな人はすごいね。○○さんはこんなことしたんだって。」と言われると、ああそうなんだな、自分はまだまだだなと思うこともあるんですけれど。

 

ドラマの中で、子供は作る気はないという女性と女は子供を作って当たりまえという女性が口論になった時に、主人公の深田恭子ちゃんが仲裁に入って「みんな違っていていいんじゃないですか?」と伝えた場面がありましたが、まさにそうだなと思いました。

 

人や自分の理想と比べることよりも、自分がそれでよかった、と納得できることの方が大事だなと思います。

治療を受ける患者さんたちが自分と同じ年の方が多くなってきて思うのは、いろんな雑音には耳を貸さず、たくさんの患者さんのブログよりも自分はどう思うか、その治療を選んで後悔はないか、を大事にしてもらえたらと思います。

 

ずっと走り続けてきたんだから、学会発表や仕事のペースを落としてもいいんじゃない?体がもたないでしょ?と言われるけれど、自分が納得いくまで今年もまだまだ走り続けます(^^)/

写真は山形の啓翁桜です。近くのお花屋さんで見つけて、一足早い春を感じました。