第36回受精着床学会参加報告|山下湘南夢クリニック|藤沢市の不妊治療/体外受精

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第36回受精着床学会参加報告|山下湘南夢クリニック|藤沢市の不妊治療/体外受精

第36回受精着床学会参加報告

異常気象が続き、平年よりも増して酷暑が続きますが皆様いかがお過ごしでしょうか。培養室の河野です。温暖化の影響がいよいよ表面化しており、時候の挨拶を考える上で苦慮するようになりました。

 遅くなりましたが、7月末に参加した第36回受精着床学会のご報告です。今学会で取り上げられたTopicsで興味深かったのは、培養液への抗酸化剤添加による培養成績の改善です。各施設の発表に加え、培養液開発の先駆者であるメルボルン大学のDavid Gardner先生の講演も行われました。これまでは胚の要求する栄養素に注目した内容が多いように思いましたが、抗酸化剤はその性質を異にします。培養は固定された環境である以上、胚の代謝や外的要因により発生する活性酸素との戦いでもあります。体内では活性酸素を除去するシステムがありますが、その機能の低下や体質により、採卵前の卵子も発育過程で活性酸素にさらされるリスクが存在します。当然、体外に取り出した後もその影響を強く受けている可能性が考えられ、それは「老化」という言葉で表されることもあります。抗酸化剤は、これら老化(≒活性酸素)の影響を体外で改善する、つまりは培養技術により卵子の発生能を底上げする可能性を秘めていると考えられます。当院でも抗酸化剤に力を入れた培養液の導入に向け、近々検討を開始する予定です。培養師の越智が、培養液に深い興味と知見を持ち合わせており、プロジェクトリーダーを任せています。今後のさらなる培養成績改善にご期待ください。

 一方、私の発表は今年2回目、通算6回目となりますが、低アウトガスラベル「Gas-nil」関連の発表をしてきました。これまでの学会では質問を多くいただき、興味を持つ方が増えてきたという感触がありました。しかしながら、今回の学会では会場からの質問はありませんでした。エンブリオロジスト学会や卵子学会と比べ、会場が細かく分かれて同時並行で進行していたため、培養士の参加比率が少なかったのかもしれません。座長である獨協医科大学の杉本公平先生が、発想が非常に面白いと熱心に聞いてくださいました。とても嬉しく思いましたが、揮発性物質への注意を現場に浸透させることは、中々に難しく時間がかかると感じ、研究発表を始める前の気持ちを思い出しました。今後も検討を重ね、一人でも多くの培養士が共感してくれるよう、努力をしなければならないと痛感し、会場を後にしました。今年は9月に学会が控えていますので、しっかりと役割を果たしてきます。

 

 話は逸れますが、子供と共通の趣味を持つため、最近熱帯魚を一緒に育て始めました。容量30L程度の小さな水槽ですが、カージナルテトラ、コリドラス・ピグマエウス、オトシン・クルス、オレンジ・シュリンプ、アルジーライム・シュリンプといった小さな個体を混泳させています。低層・中層・高層を遊泳する個体、水底や苔の掃除担当等、どの個体を導入するとアクアリウムが上手く回るか、考えていて楽しいです。お気に入りはエビです。見た目のかわいらしさに加え、苔をきれいにする生物兵器としても非常に優秀です。特に苔等をツマツマと口に運ぶしぐさ。この動きがたまりません。抱卵する個体が出てきたため、稚エビの隠れ家を仕上げることが我が家の緊急の課題です。

 

アクアリウムの現状です。

 

オレンジは目立ちますが、ライムは水草と同化して存在感が…