「オレンジ色の朝陽~生殖内分泌と生殖補助技術の新進展学術シンポジウム2018 中国石家庄~」|山下湘南夢クリニック|藤沢市の不妊治療/体外受精

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「オレンジ色の朝陽~生殖内分泌と生殖補助技術の新進展学術シンポジウム2018 中国石家庄~」|山下湘南夢クリニック|藤沢市の不妊治療/体外受精

「オレンジ色の朝陽~生殖内分泌と生殖補助技術の新進展学術シンポジウム2018 中国石家庄~」

秋も深くなってきましたが、皆様はいかがお過ごしでしょうか?

高度生殖医療研究所の中田久美子です。

112日から4日に中国石家庄で開催されたシンポジウムで招聘講演させていただきました。私の発表した講演のタイトルは「A safe and reliable sperm cryopreservation container (MAYU) for severe oligoasthenoteratozoosperimia patients. 」で、極少数凍結デバイス「MAYU」を使用した基礎実験から臨床データの内容でした。

当院からは吉田副院長、河野培養室室長、私が講演し、看護師長の佐々木、受付主任の八代と培養士であり中国人である陳と、私の旧友である岩田京子さんと合計7人でシンポジウムに参加しました。講演は英語でスライドを説明し、その内容を中国人の女性医師や男性医師が中国語で会場の参加者に説明する、という方法で行われました。

ここで私の長年の誤解が解けたのは、中国人はみんながみんな英語を理解し、話せるわけではない、ということでした。座長の先生方やシンポジウムの事務局の方々は英語が堪能な方もいらっしゃいましたが、参加者のほとんどの方は英語を理解できないか、理解するまでに時間がかかるような感じを受けました。けれども、参加者の方々は熱心にメモを取ったり、ビデオを撮影したり写真撮影したり(本来ならば無断撮影は禁止なのですが)、500名以上の方がぎっしりと集まったホールでしたが、とても熱気に包まれているのを感じました。私たち3人に質問もたくさんいただきました。参加者の皆さんにとっても有意義な時間になっていたらと思います。今回、私は英語での口頭発表は3回目でしたので、1回目、2回目と違って少し落ち着いて話すことができたかなと思いますが、まだまだ英語で自分の考えを討論できるように頑張っていきたいと思います。

 

話は少し変わりますが、みなさんは中国に行ったことがあるでしょうか?私は今回初めて行きました。日本と中国との歴史は世界史、本で読むだけでなく、仕事上でも中国の方や文化と接する機会はあったにも関わらず、初めてでした。ですので、北京はどこ?通貨は?時差は?と知っているようで知らないなと改めて思いました。その中で最も甘く考えていたのがPM2.5でした。ちょっと遠くの建物は霞がかかったようにかすんで見えて、外を歩く際にはかなりしっかりしたマスクをしないと息苦しくなりました。気道の繊毛に微小な粒子がたくさん付着して、喉がチクチクいがいがするような感じでしたし、目もかゆいなと思うような空気でした。昇ったばかりの朝陽は夕陽のようにオレンジ色に見えて、青空が見えない、そんな環境でした。

しかし、こういう環境であっても、中国のみなさんはマスクをしないでいても大丈夫そうに見えましたし、道路では我先にと道をぐいぐい、赤信号でも進んでいく中国の日常にもとても驚きました。まるで違う海の中の魚の大群の中に入ってしまったような気持ちになりました。

講演では私の席も名札をつけてありましたが、スライドを修正している間に、知らない女性が座っていたりしたことも驚きました。その女性に「ここは私の席ですよ」と言うと、顔を真っ赤にして(怒ったのか、恥ずかしかったのか、わからないですが)、席を離れてくれました。しかし、謝罪の言葉もありませんでした。まるで、座っていない席なのだから、座っても構わないでしょう?離れている方が悪いでしょう?と言われたようにも思いました。

日本と中国の分化はとても近いようでいて、似ていないところもたくさんあるなと思います。

 今回、題名にしましたが、朝陽と言えば、私は暗い夜空が少しずつ明るくなり、少しの紫色、少しの橙色、少しの青色のたなびく雲の中に太陽の白く輝きを放つような光が見える様子を思い浮かべるのですが、同じ太陽であっても場所によってこんなに違うのだなと改めて思いました。それは、ひとそれぞれ同じものを見ていても違うのと同じかもしれない、とオレンジ色の朝陽を見ていて思いました。

 ただ、科学や技術の前では人種、色の見え方、感じ方、考え方が違っていても、真理は一つであることには変わらず、人にとっていいものの前では共通の認識があってもいいのだと改めて思う機会になりました。

写真は講演翌日に見学させていただいた河北生殖妊産病院(HEBEI MATERNITY HOSPITAL)から見た朝陽です。25階建ての600床も病床がある、生殖医療に特化したプライベートクリニックでした。